和歌山市議会 > 2004-03-02 >
03月02日-04号

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  1. 和歌山市議会 2004-03-02
    03月02日-04号


    取得元: 和歌山市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-06-07
    平成16年  2月 定例会                平成16年          和歌山市議会2月定例会会議録 第4号                平成16年3月2日(火曜日)         ---------------------------議事日程第4号平成16年3月2日(火)午前10時開議第1 会議録署名議員の指名第2 一般質問         ---------------------------会議に付した事件日程第1 会議録署名議員の指名日程第2 一般質問(貴志啓一君、中橋龍太郎君、メ木佳明君、森田昌伸君、大艸主馬君、中村協二君)         ---------------------------出席議員(41名)  2番  松井紀博君  3番  野嶋広子君  4番  奥山昭博君  5番  中尾友紀君  6番  片桐章浩君  7番  藤本眞利子君  8番  戸田正人君  9番  東  稔君 10番  芝本和己君 11番  井上直樹君 12番  古川祐典君 13番  尾崎方哉君 14番  山本宏一君 15番  後 みつる君 16番  姫田高宏君 17番  中村協二君 18番  岩井弘次君 19番  松本哲郎君 20番  中嶋佳代君 21番  寒川 篤君 22番  メ木佳明君 23番  北野 均君 24番  遠藤富士雄君 25番  宇治田清治君 26番  貴志啓一君 27番  寺井冨士君 28番  佐伯誠章君 29番  南畑幸代君 30番  大艸主馬君 31番  森下佐知子君 32番  中橋龍太郎君 33番  中 拓哉君 34番  多田純一君 35番  東内敏幸君 36番  山田好雄君 37番  森田昌伸君 38番  和田秀教君 39番  浅井武彦君 40番  浦 哲志君 41番  井口 弘君 42番  奥田善晴君欠席議員(1名)  1番  旅田卓宗君   -------------説明のため出席した者の職氏名 市長         大橋建一君 助役         射場道雄君 助役         植松浩二君 収入役        岡本 弘君 理事市長公室長    松見 弘君 企画部長       的場俊夫君 総務部長       鎌田純雄君 財政部長       奥野久直君 市民部長       西嶋真司君 福祉保健部長     中岡安美君 生活環境部長     木村哲文君 産業部長       松澤 勉君 都市計画部長     市川一光君 建設部長       小上一佳君 下水道部長      小倉常男君 教育委員会委員長   竹内巳喜男君 教育長        山口喜一郎君 教育総務部長     松本 功君 教育文化部長     空 光昭君 消防局長       相坂 勲君 水道局長       楠本喬二君 水道局業務部長    保井孝之君 水道局工務部長    山縣良男君 選挙管理委員会委員長 筒井敏郎君 代表監査委員     伊藤松雄君 人事委員会委員長   田中昭彦君   -------------出席事務局職員 事務局長       川西通夫 事務局次長      鳥居喜久夫 議事調査課長     山ノ井義雄 議事調査課副課長   岡崎広治 議事班長       尾崎順一 調査班長       濱治 匠 主査         石本典生 主査         中西 太 主査         奥谷知彦 主任         志賀政廣 主任         藤井一成 主事         小林健太   -------------          午前10時12分開議 ○議長(佐伯誠章君) ただいまから本日の会議を開きます。   ------------- △日程第1 会議録署名議員の指名 ○議長(佐伯誠章君) 日程第1、会議録署名議員の指名を行います。 本日の会議録署名議員は、会議規則第80条の規定により、議長において   貴志啓一君   多田純一君   メ木佳明君 以上3人の諸君を指名します。   ------------- △日程第2 一般質問 ○議長(佐伯誠章君) 次に、日程第2、一般質問に入り、各会派の代表による質問を許します。 貴志啓一君。--26番。 〔26番貴志啓一君登壇〕(拍手) ◆26番(貴志啓一君) 皆さんおはようございます。 昨日、この質問の勉強もせずにテレビをしばらく見ておりますと、サマワに行っております自衛隊の指揮官、番匠一等陸佐が行動の心得というのを3つの英語の頭文字で語っておりました。一つはBNN、そしてもう一つはABC。BNNは武士道、人情、浪花節らしいです。もう一つはABC、当たり前のことをぼうっとせずにちゃんとやる。これ実に言い得た言葉だと私感じました。直球ですね。私も本日の質問、直球でやらせていただきたいと思います。 それでは、議長のお許しをいただきました。正和クラブを代表して質問をいたします。 大橋市長が就任されて、早くも1年半がたちました。今回の施政方針は、市長にとって3度目ということになります。この施政方針を見て、私はまず感じたことは、めぼしい、説得力のある重点施策がいまひとつ伝わってこないということです。と申しますのは、具体的なビジョンの提示に欠け、市民と一緒になって夢を共有するという部分では、少しばかり物足りないと思ったのは、私一人でありましょうか。 私は、健康食品のコマーシャルのように、これさえ飲めばだれでもやせられると錯覚させられるような宣伝は期待しませんが、せめて実現性のある和歌山市の未来像を大胆に示し、未来に向かって市民をぐんぐん引っ張っていく、また市民も今はだめでもあすがあると立ち上がれるような、そんな壮大な抱負をもうそろそろ打ち出してはいかがかと思うのであります。 単なる長期計画ではなく、望ましい和歌山市のビジョンを、近畿において、これだけは和歌山市というものを発表していただき、それをもとにしてこの市議会でかんかんがくがく議論するということは、想像するだけでも胸が弾みます。市民の方々も胸躍らせながら議論に参加するというような気風が生まれれば、確実に和歌山市再生の風が吹き起こってくるに違いありません。 現状は財政難で、構想しても現実のものにはならないと思われているかもしれませんが、そういう現実なればこそ、将来、和歌山市をこんな町にしたいという理想をかざしつつ、市民の皆さんに住んでよかった和歌山市、夢と希望の和歌山市としてよみがえる日を、大橋市長、あなたが切り開かなければなりません。市長は、その構想をいつ打ち上げてくれるのか、今回はその心意気を示していただきたいと思います。 市長は、施政方針の中で、都市づくりの経験を持った専門家の知恵もかりた上で、活性化のためのビジョンを策定して、まちづくりに生かすと述べられていますが、市長はまず自分としてはこんな町をつくっていきたいというビジョンを大胆に打ち出すべきであります。そして、それを実現するために専門家の知恵をかりることを考えてはいかがでしょうか。要は、市長のリーダーシップを今や遅しと待ち望んでいるのです。 次に、今回の機構改革において、和歌山市の活性化ということで、まちづくり推進室がスタートすることになりますが、そのまちづくり中心市街地をイメージしてつくられたように見えるのはなぜでしょうか。 私は、まちづくりは和歌山市全体のことを考えることだと思います。したがって、まちづくり推進室は機構改革全体の中で考えるべきで、企画部や都市計画との役割分担や整合性を明確にすべきであり、長期総合計画の策定や見直しを含めて、機構上の問題で行政の流れがスムーズに行かない場合が生じるのではないかと危惧いたします。このことについてお考えをお聞かせください。 さて、私の小さな提案でありますが、私は築港の廃業した製材所を見て、ここに関西一のヨットハーバーができないものかと考えたことがあります。ばかばかしい話だと思われるかもしれませんが、和歌山には海があり、それも大阪湾とは比べ物にならないぐらいきれいな海があります。 大阪湾でのマリンレジャーは、私も経験したことがありますが、白いタオルをつければ茶色く染まるような、お世辞にもきれいとは言えない、そんな海でしかありません。おまけに埋め立てがどんどん進んで、ヨットハーバーから広い海に出るまで30分以上かかるようなところもあるのです。 このような状況を見ると、阪神高速湾岸線ができた今、神戸からでも1時間程度で来ることができる和歌山の海は、到着して出航すればすぐにきれいな海へ出るこことができるのですから、ヨットマンにとってはよだれが出るほどすばらしい立地条件にあります。 そこには、近隣の府県から和歌山に人を呼び込める和歌山の一つの大きな魅力があると思います。和歌山市の明るいイメージとして、こんなことも考えられてはいかがでしょうか。マリーナシティと整合性を持たせつつ、また埋立地を所有する県当局と協議を続けて、ヨットハーバー計画を持つのも楽しい企画であると思います。 また、和歌山市全体のまちづくりという見方をすれば、特に紀の川東北部の整備のおくれがあります。現在、河西、河北、河南、東部、中央にコミュニティセンターが設置されていますが、紀の川東北部にはコミュニティセンターはおろか、公共施設は皆無の状態にあると言えます。また、若者たちのための野球場やサッカー場などまともな施設もありません。 以前にもお伺いしたことがありますが、開発公社所有の直川用地を利用して休日医療などを併設したコミュニティセンターサッカー場、野球場を備えた複合公共施設を考えてみてはいかがでしょうか。 次に、中心市街地活性化についてお尋ねいたします。 和歌山市の盛り場として戦前よりにぎわいを見せてきたぶらくり丁、築地商店街の凋落ぶりには目を覆うものがあります。夜7時を過ぎると商店街はその扉をおろしてしまい、これが人口40万都市の中心かと疑いたくなるような情景が20年近くも続いております。この和歌山市を象徴する光景は、今日までの和歌山市政がいかに展望に欠けていたかを物語っていると思います。 幾つか挙げてみますと、まず人口の減少にストップがかからない、住友金属の大幅な縮小、地場産業としての捺染、ネル、木材、皮革産業等の凋落、大型商店街の衰退等唯一の地場百貨店の倒産、観光地和歌浦の壊滅的な現状。 私たち市政に携わる者として、こうした現状に目を背けることなく、どうすれば現状から抜け出して、次の時代を切り開くことができるのかを模索し、ビジョンを打ち立てる責任があると思います。 中心市街地について、私の一つの提案でありますが、私は町全体をデザインし、人の流れをつくり出し、周辺に人を集めていくことがとても重要だと考えております。 例えば、松山市で実施されております窓口業務の一本化。これを松山市ではワンストップサービスというふうに呼んでいましたが、このようなシステムを取り入れることができれば、窓口業務のサテライトを設置することも考えられます。その上で、例えば現在協議の対象となっている旧丸正の建物の一部をそのために活用し、開放することも市政と市民の壁を取り除くことに役立つであろうし、大勢の市民の来訪によって、新しい人の流れとぶらくり丁方面の商店街への強力な起爆剤となるのではないでしょうか。ワンストップサービスのような窓口業務を取り入れるお考えはありますでしょうか。 次に、昨年末に発表された南海電鉄貴志川線の廃線問題についてお伺いいたします。 現時点で、南海本線、高野線を含む南海電鉄全線の収支が約4億円の黒字ということであります。そこへ年間約5億円の赤字を抱える路線の廃線を考えることは、公共性ということに目をつむれば、当然のことであるかもしれません。 しかしながら、和歌山市民にとっても、貴志川町民にとっても、貴志川線は今まで長年利用してきた公共交通機関であり、この電車がなくなると沿線住民にとっては、通勤、通学などの日常の交通手段が奪われることになるわけです。沿線の発展にも大きな影響が出ます。少なくとも、現時点で貴志川線を利用している1日平均 7,000人の人々はたちどころに足を奪われ、それらの人々が自家用車に切りかえるとなると、沿線の環境汚染と交通渋滞がさらに進むことになります。 この問題は、単に貴志川線廃線だけの問題ではなく、今後の和歌山市全体の交通体系にかかわってくる大変大きな問題であると考える必要があります。 加太線や和歌山港線については、南海本線との乗り継ぎがあり、路線ごとの収支がつかめていないため問題となっていませんが、今回は単独になっている貴志川線の廃線だけが浮上してきたわけであります。近い将来、赤字部分の切り捨てで、例えば加太線や和歌山港線についても廃線案が浮上してくる可能性を秘めていると考えなければなりません。 また、老朽化した紀の川鉄橋のかけかえを考えると、その費用面から見ても、南海本線は紀ノ川駅までとなり、紀の川左岸の和歌山市駅を切り捨ててしまうことも考えられ、心配の種は尽きません。 要するに採算面だけを考え、公共性を無視する場合の危険性に今こそ警鐘を鳴らさなければならないということであります。和大新駅を1つふやすだけでも大変な努力と住民の協力、そして莫大な費用がかかることを考えるとき、今ある鉄道を廃止してしまえば、二度と元には戻せないことはだれが考えても明らかなことであります。 こんなことになってしまっては、せっかく和歌山市に対する大橋市長のビジョンが発表されても、その前に和歌山市の交通体系はずたずたになってしまいます。貴志川線の存続を果たすことが、将来の和歌山市の交通体系を形づくる基本部分になると考えます。市長のビジョン構想への影響を含めてお考えをお伺いいたします。 次に、具体的に貴志川線存続の交渉を進めるにおいて、赤字を覚悟での存続を要望しても、それだけでは現実性は極めて乏しいというべきでしょう。 そこで、考え方はいろいろあると思いますが、まず取り組まなければならないことは、乗客の確保ということだと考えます。かけ声だけで乗客はふえることはあり得ません。そこで、利便性の向上を考えることが一つの手段です。 私は、以前から加太線と貴志川線を一本化することを提唱してきましたが、そのためには和歌山駅と和歌山市駅間で現在高架工事を進めている路線をJRから南海電鉄に払い下げるか、その部分を和歌山市が借り上げるかして、とにかく一本化を図ることが、将来的に加太線存続をも確立するために必要な方策ではないかと考えます。そのほかにも、貴志川線存続のためには、さまざまな方策を講じていく必要があると考えます。 従来よりこの路線の赤字については、識者の中でも取りざたされていましたが、考えてみれば和歌山市という行政が何のバックアップもせずに、今日まで来たことに負い目を感じずにはおられません。 和歌山市の都市計画図を見ますと、この沿線は都市計画上は調整区域となっており、住宅が建てにくい地域になっています。今日まで、公共交通機関に対する行政としての配慮が全くなされてこなかったことを反省し、貴志川線存続のために都市計画を見直し、せめて駅周辺だけでも市街化区域として見直すことを考えてはいかがでしょうか。 近鉄や阪急、阪神の各電鉄会社は沿線の住宅地開発で利用客をふやし、また甲子園球場に象徴されるイベント施設を沿線に持って、乗客数向上に努めてきたのです。貴志川線を存続してほしい、公共交通を守れと言っても攻めの政策を示さなければ、しょせん結果は見えています。 前回の一般質問で芝本議員から提案されましたが、パークアンドライドやサイクルアンドライドの推進も考えていくべきではないでしょうか。芝本議員に対する答弁でも和歌山市の取り組みとしては、まずサイクルアンドライドを考えていきたいといたしておりました。この答弁を踏まえた上で、ぜひこの機会を利用して、市職員の皆さんの力をおかりすることも必要ではないでしょうか。 ここで、私が提案したい方策は、和歌山市として職員の方々に通勤手当を支給しているのですから、この際、自家用自動車での通勤は控えてもらい、最寄りの駅から貴志川線や加太線を利用してもらうことを考えてはいかがでしょうか。新たな補助金ではなく、和歌山市職員の通勤手当が生きてくること、また渋滞解消に貢献できるのではないでしょうか。さらに、県職員や市内の企業にも協力を呼びかける必要があります。 また、貴志川線や加太線各駅に駐輪場や駐車場を完備することも必要となってきます。場合によっては、時間帯の自家用車の市内乗り入れ規制も視野に入れて、新しい渋滞緩和策を模索し、あわせて環境保護のため、また公共交通の育成方策を見出すべきだと考えます。 このような取り組みをすることによって、貴志川線だけの問題ではなく、和歌山市全体の交通体系を整えていくことになると考えます。お考えをお聞かせいただきたいと思います。 次に、公共料金の見直しや補助金の見直しについて、少しばかり意見を述べたいと思います。 従来のばらまき補助金は、当時の市長の選挙対策的な要素が多分にあったと思われます。ですから、過去にばらまいた補助金に対し、それをカットしようと考えると補助金を出した市長は当時のヒーロー、人気取りになったわけですが、この補助金をなくした市長は、市民にとって悪者にされてしまうケースが多いとしなければなりません。同じことが、過去には先送りされてきた公共料金を見直し、引き上げを行おうとすれば、これまた悪者になってしまいます。長い目で市財政の破綻を乗り越えるためには、痛みを覚悟で改定を行わなければならないことは、私も理解できます。 しかし、だからこそ一方で、値上げより先にやっていかなければならない問題を重視すべきであります。例えば介護保険料の滞納に対する取り組みや上下水道使用料、公共住宅の家賃等悪質な滞納が残っていることの怠慢は責められるべきです。なぜ長期にわたって整理が進まなかったのか考えなければなりません。 ここで、あえて悪質という言葉を出しましたが、例えば住宅の場合、リストラに遭って今はどうしても家賃が払えない、運悪くけがをした、病気になったため、そんな場合もあるわけで、実情を把握した上で対処していかなければならない難しい問題であるので、単純な取り立てで済む問題ではないと承知しております。 しかし、市民の方から見れば、和歌山市の施策は、市職員の怠慢はそのままにしておいて、足りない部分を市民に押しつけているというふうにしか映らない、そんな声が聞こえてまいります。もっと効率よく市政を運営していくことを市民にわかりやすく取り組まなければ、こうした声は消えないと考えます。 次に、水道行政についてお伺いいたします。 大橋市長は、危機的状況にある本市の財政再建のために思い切った緊縮財政を打ち出し、各方面では悲鳴に似た声さえ聞かれます。放漫な財政で、ここまで市の台所を疲弊させた先任市長の責任を問うことは、この際、割愛しますが、大橋市長も市民生活に直結する諸事業を縮小するだけでは、市民の方から政治とは言ってもらえないと思うのであります。 そこで、本日問題として取り上げるのは、国のプロジェクトとして推進してきたいわゆる紀の川分水問題であります。 新聞報道で知り得たことでありますが、紀の川上流の奈良県川上村に建設された大滝ダムが、いざ供用開始という目前になって、白屋地区でひび割れ、地すべりの危険性が浮上、これらの対策のため事業費は 3,210億円から3,480億円にふえ、これまで 191億円を負担してきた本市は、新たに浄水で12億円、工業用水で4億円の負担増が求められると報道されています。 そもそも十津川・紀の川の総合開発事業は、昭和22年以来、本県・本市の先輩たちが心血を注いで取り組んできた国家プロジェクトであります。私は、今の段階において、その歴史的背景を述べることはあえて控えますが、紀の川の水を上流の奈良県側の恣意によってカットされ、奈良盆地や大阪平野へ送水されてしまうことを阻止し、下流の和歌山側の利水権を確立させることにその要点があったと理解しております。そして、もう一つの側面は、洪水対策にあることは明らかであります。 本日は、時間の問題を考え、利水に絞って考察したいと思います。 紀の川水系の計画は、まず十津川・紀の川総合開発事業、それを受けて大滝ダム建設、並行して紀の川大堰建設という流れになっております。 この流れは、さきに述べたとおり、第一義的には利水と洪水対策でありましたが、その裏には大阪分水を視野に入れた近畿の水対策としての当時の建設省や通産省の思惑が見え隠れいたしております。 まず十津川・紀の川総合開発事業によって和歌山県側の利水要件を満たし、続いて大滝ダムを建設することで、奈良県側と和歌山県側の利用水量の確保が図られるわけであります。この段階において、奈良県が大滝ダム上流の入之波(しおのは)地区にダムを建設し、得た水を大阪へ分水する計画を発表して、本市への揺さぶりを図ってきました。結局は、紀伊丹生川ダムの建設と紀の川大堰建設によって流量を確保し、和歌山市有功地区から大阪側番川ダムへ分水する内諾を求められたという経緯があります。 こうした流れを計画したのは建設省であり、この計画は、関西国際空港によりにわかに現実性を帯びるようになりました。紀の川大堰完成に向けて大車輪の工事が進められたのもそのためであります。 ところが、建設省のこうした思惑は、バブルの崩壊、水需要の急速な減退、さらに公共事業の見直しという視点が浮上してとんざを来すことになります。すなわち大滝ダムの完成と紀伊丹生川ダム建設と相まって、紀の川大堰の完成で流量の安定的確保を図り、余剰水を大阪分水するという構想は、まず大阪側の水需要の減少で琵琶湖水系で泉北までの水は充足され、もちろん関空の需要も問題なく賄えることになったことによって崩れたわけであります。 一方で、紀の川大堰は完成しましたが、当初の目的の一つ、大阪分水が先送りとなれば、ある意味では、無用の長物とも言える存在になります。それどころか、今まで本市の取水源として質のよい伏流水は利水できなくなり、すべて表流水に頼らなければならないわけであります。 私は、こうした問題を今さら表面に浮上させることは、この質問での目的ではございません。しかし、和歌山市がこれまでに負担してきた 191億円は、一体利用水量をどれだけに見積もって負担金額が決められたのか、また新たに負担を求められる浄水と工業用水合わせて16億円の根拠は、どうなっているのかお聞かせをいただきたいと思います。このあたりの数字の根拠は、水道局から提示を願います。 また、本市の工業用水は河東工水が任意水量制、また六十谷第1工水が昭和35年に、そして第2工水が昭和40年に完成し、こちらの方は責任水量制として今日まで至っているわけであります。確かに必要水量が減れば、それに応じて契約水量を減らすことが当たり前のように見えますが、工業用水の必要量を確保するためにダム建設に対して負担金を出しているのですから、安易に契約を変更することに疑問を感じます。 また、今後、企業の縮小や廃業に伴う減量や廃止に対しても、さきに述べましたように必要水量を確保してきた和歌山市として、何らかの処置を考えていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。 今日までどのような経過をたどってきたのか、特に工業用水の需要量の変遷と今後の見通し及び採算性について、具体的に数字を添えてお伺いいたしたいと思います。 浄水についても今後の水需給計画の予測と現状について、工業用水同様大幅な減少が見込まれますが、10年後の平成26年、20年後の平成36年には、水需要はどのように予測しているのか見解をお伺いしたいと思います。 以上の点についてお答えを願います。 さて、こうした現状と予測から見れば、本市の紀の川大堰や大滝ダムに要する費用の負担が余りにも多過ぎると感じるのは、私だけでしょうか。国の施策としての大阪分水に振り回され、本来、大阪側の利水に供しようとした大計画の破綻を和歌山や奈良側の負担によってしりぬぐいさせようとする現在の国土交通省の要求は、そもそも無理があると言えます。特に十津川・紀の川総合開発の段階で大迫ダム建設当時、大型地すべりを経験しながらその教訓に学ばず、大滝ダムで同じ轍を踏んでいるのであります。 市長は、本市の水需要予測を盾に、国の事業の失敗は国の責任で解決するよう求めることが、地方自治権確立のための重要な第一歩であると思います。 先日、新聞報道にもありましたが、この際、新たな負担を返上するため立ち上がることこそ、市民の側に立った財政再建の大きな課題と思います。国に対し大胆に物を言うことで、三位一体改革を強調する小泉内閣は、地方の言い分を否定できないはずであります。市長のお考えをお聞かせください。 るる述べてまいりましたが、私は和歌山市財政の再建と発展のために、ぜひ市長の勇気ある決断と実行力を発揮していただきたい、そんな思いで質問をさせていただきました。 御答弁をよろしくお願いいたしまして質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(佐伯誠章君) 大橋市長。 〔市長大橋建一君登壇〕 ◎市長(大橋建一君) 皆さんおはようございます。 26番貴志議員の代表質問にお答えをいたします。 のっけから、施政方針にはビジョンがない、まず市長みずからこんな町をつくっていきたいというビジョンを打ち出すべきではないかという厳しい御指摘でございました。 私はまちづくりのビジョンを「水と緑と歴史のまち 気くばり・元気わかやま市」というキャッチフレーズに凝集し、具体的施策として取り組む重点課題として7つのKを掲げてまいりました。このことは紀の川と和歌浦や加太の水辺、和泉山脈や名草山などの緑、そして和歌浦や和歌山城に代表される歴史を生かし、優しさと元気にあふれた和歌山市にしたいという思いを込めて、市内42地区で開催しております地区話会におきましても、私のビジョンとして市民の皆様に御説明をしているところでございます。 その7つのKの一つである「活力ある元気な和歌山市の再建」の方策を探るため、昨年9月議会において、現在進めている和歌山市の活性化に関する調査の予算を御承認いただき、その中で和歌山市活性化戦略提言会議を開催し、有識者5名の委員と私ども和歌山市側出席者で活発に議論を重ねておりますが、私がビジョンとして提案したキャッチフレーズをたたき台として、あすの和歌山市像を市民の皆様とともにつくり上げていく過程から生まれる、自分たちの町は自分たちの手でつくるという気概こそが和歌山市を活性化させる原動力であり、私が最も大切に育てていきたいと考えているものでございます。 まちづくり推進室はどのような位置づけなのかという御質問でございました。 平成16年度に新設いたしますまちづくり推進室の位置づけにつきましては、当初予定しておりますのは、中心市街地商業等活性化基本計画に基づくまちづくりと、観光振興を柱としたまちづくりを担当させることにしております。 現在、和歌山市のまちづくりの全体計画は長期総合計画の中で、それぞれの部署において取り組んでおりますが、事業によりましては、一部局では処理不可能な全庁体制で臨まなければならない課題も数多くございます。こうした課題につきまして、各部と調整を行いつつ事業を進めるには、独立の部組織が必要ではないかというのが私の考えでございまして、これらを念頭に置きながらまちづくり推進室を設置するものでございます。 ヨットハーバーを計画してはどうかという御質問でございます。 和歌山市の町の魅力というのをどうやって形づくっていくか考えますと、議員御指摘のように本市の大きな財産とも言える海に着目する必要があると思います。 江戸時代までは、和歌山の主要な交通運輸の手段は海であったわけです。紀伊水道から大阪湾、瀬戸内海へ、また黒潮の流れに乗って伊豆や三浦半島、房総半島、そして江戸へと人が交流し、物資が運搬されてまいりました。 和歌浦、雑賀崎や加太から眼前に広がる海を見ておりますと、海上交通というのを再評価すべきではないかと思うわけでございます。例えばマリーナシティから田野・雑賀崎漁港へ、さらに加太、友ヶ島へ観光船を走らせ、海上でおいしい魚を食べながら和歌山市の美しい町と自然を見ていただく、そういう観光を考えることはできないだろうかというような、いささか夢物語のようなことも地区話会でたびたび申し上げております。 議員御提案のヨットハーバーも、確かにマリナーシティには 1,000隻を収容できるヨーットハーバーが整備されておりますが、海上交通ということを考えますと、そこだけでは不十分であることも理解できるところでございます。 今後、和歌山の青い海を生かし、関西地域のマリンスポーツの拠点とするため、本港地区や加太、友ヶ島にヨットハーバーが設置できないか県とも十分相談して、設置に向け努力をしてまいりたいと思っております。 直川用地についての御質問がございました。直川用地を利用して休日医療などを併設したコミセンやスポーツ施設を備えた複合施設を考えてはどうかという御質問でございます。 紀の川北東部に公共施設が少なく、この地域の皆様に大変御不便をおかけしていることは十分認識してございます。こうした現状を考えながら、直川用地の活用につきまして未利用地活用検討委員会などの場で、その一部を公共施設の用地とすることなどを検討してまいりました。 こうした経緯を踏まえつつ、新しくスタートしますまちづくり推進室が中心になって、住民の皆様の御意見も取り入れながら、直川用地全体の利用計画を練り上げていきたいと考えておりまして、その場合には、当然、議員御提案のような施設や、議会で請願が採択されておりますスケートボード場にも使えるような場所、さらに公園なども検討の対象になるものと考えてございます。 また、この地には都市計画道路西脇山口線が通る計画となっておりますので、阪和自動車道と西脇山口線を結ぶランプウェー建設なども検討すべきテーマではないかと考え、今後検討、研究をしてまいりたいと思っております。 中心市街地の活性化について、旧丸正の建物にワンストップサービスのような窓口業務を取り入れる考えはあるかという御質問でこざいます。 旧丸正ビルフロアへの公共的な交流関係施設の設置につきましては、職員によりますまちおこしプロジェクトチーム、また市民、地域住民、商業者の方々も参画した「つれもてやろら!まちづくり」ワークショップで進めてまいりました検討結果をもとに、現在、産業部担当助役を中心に、関係部長を含む18人の委員で構成する旧丸正ビル公共的交流関係施設設置検討委員会において、検討を進めているところでございます。 同ビル内に配置する公共施設といたしましては、高齢者や子供たちが集まりやすい交流の場とか、国際交流センター、NPO・ボランティア推進室といった機能を検討対象にしているほか、県に対しても例えばパスポートセンターを設置できないかなどの呼びかけをしているところでございます。 議員御提案のワンストップサービス窓口の設置につきましては、まず本庁舎内の総合窓口設置が先決でございますため、それに必要な戸籍事務の電算化と税総合システムの導入が不可欠でありまして、戸籍事務につきましては平成20年度、税総合システムにつきましては、平成17年度までの事業として進めているところでございます。このため、サテライト的なワンストップサービス窓口の設置につきましては、本庁舎内の総合窓口設置以降になるかと考えてございます。 貴志川線についての御質問が幾つかございました。 まず、都市計画を見直して、せめて駅周辺だけでも市街化区域として見直しをすることを考えてはどうかという御質問でございます。 駅周辺の都市計画の見直しについては、無秩序な市街地の拡大を防止し、計画的な市街化を図るため、市街化区域と市街化調整区域の区域区分を定めてございまして、将来の人口や産業の見通しを勘案し、これらを適切に収容すべき区域として市街化区域の範囲を定めております。 議員御指摘のように南海貴志川線沿線の南東部におきましては、市街化調整区域に位置づけされてございます。 市街化区域への編入要件としましては、一例ではございますが、土地区画整理事業をおおむね3年以内に着手することが確実な区域や、地方公共団体、その他の公的機関が住宅地等の開発事業を実施することが確実な区域などと厳しく制限されております。 したがいまして、現段階において当該区域を市街化区域へ編入することは、都市計画上は困難であると考えてございます。しかし、土地利用の観点から、鉄道利用の利便性の向上と利用者の増加を図るべく方策について、調査・検討を進めてまいりたいと考えております。 さて、その貴志川線について、南海貴志川線と加太線との一本化、あるいはもし廃線となった場合の交通体系全体のビジョン構想への影響、さらに公共交通の育成について御質問がございました。 南海貴志川線問題と関連して、本市の将来の交通体系をどう考えているのかということでございますが、議員も御承知のとおり、長期総合計画等、現在立案されておりますまちづくりに関する諸施策は、現在あります鉄道やバスなどの公共交通機関が存続していることを前提に計画されております。 ところが、一方では、道路の整備が進むにつれて、マイカーやバイク、自転車等を利用する通勤、通学客がふえる傾向が著しく、市内の人口減少もございまして、鉄道や路線バスは乗客数が軒並み減少傾向にあって、苦戦を強いられているのが現状でございます。さらに、デフレ不況が続き、これまでなら何年かに一度行われていた運賃値上げが実施できない状況が続き、鉄道事業は総体として大変厳しい経営状況に追い込まれているようでございます。 特に和歌山市におきましては、紀勢本線、和歌山線、阪和線のJR3線と南海貴志川線の起点となりますJR和歌山駅、それから南海本線、加太線、和歌山港線の起点となる南海和歌山市駅の2つに駅が分かれており、その間を結ぶ鉄道はJR紀勢本線の一部という変則的な鉄道配置になってございまして、2つの拠点駅が有機的に結びついていないという弱点がございます。 議員御指摘の加太線・貴志川線一本化案は、実は私も前からできないものかと考えておりまして、市長就任直後に南海電鉄や両線をつなぐべき和歌山-和歌山市間の紀勢本線を持っているJR和歌山支社に実現可能性を尋ねたことがございました。結論から申しますと相当難しいようでございます。 といいますのは、JR和歌山駅で行きどまりとなっている貴志川線の線路を貴志川線から紀勢本線に接続するポイントを設けて、紀勢本線に流れるようにすること自体はそう難しくないのですけれども、加太線とJR紀勢本線の電化方式は直流 1,500ボルト、貴志川線は直流 600ボルトのため、貴志川線の架線電圧を上げないと接続ができないという問題がございます。これは費用がかなりかかる大がかりな工事となりまして、そう簡単には実現が困難であるということでございました。 しかし、今も申し上げましたように、市内全域の交通体系整備を考えていく上で、加太線と貴志川線が結ばれるならば、両地域の生活基盤の向上に大いに寄与することは間違いありませんし、観光振興にとっても起爆剤となり、このことこそが赤字路線である両線にとって唯一起死回生の道ではないかとも思うわけでございます。 実際に幾らかければ電圧変更が可能なのか、JRは和歌山-和歌山市間の路線を無償で南海に譲る考えがあるのか、仮に接続が実現しても、現状では和歌山市駅でスイッチバックが必要となりますが、その解消策はあるのかといった問題を詰めていかなければなりません。長期的な視点で、この問題に立ち向かっていきたいと考えております。 さて、南海貴志川線をどうやって存続させるかでございます。 南海電鉄側は、年間 200万人しか乗降客がなく、毎年およそ5億円の赤字が発生し、経営努力を重ねてきたが、解消できないのでやめたいという一点張りでありまして、署名運動なんか何の役にも立たないとか、利用運動で一時的に乗客がふえても、またすぐ減るから結局同じだなどと言って、住民の廃線反対の動きに冷や水をかけることばかり考えているようにも見えます。 しかしながら、私たちの立場からいたしますと、この貴志川線沿線には短大や高校、中学など多くの教育施設がございますし、病院や福祉関係の施設も点在しています。運転免許センター、四季の郷公園、東公園、さらに日前宮、竈山神社、伊太祈曽神社の三社も市の各地から多くの人が集まる場でございます。 したがいまして、貴志川線は本市の東南部地域のみならず、市内全域に住む学生や高齢者を初め多くの方にとって通勤、通学、通院、通所、行楽などになくてはならない極めて重要な路線でございます。 議員御指摘のとおり、利用者をふやし、何が何でも守っていかなければならないと考えているところでございます。 具体的にどのような方策が考えられるか。例えば議員もおっしゃいましたサイクルアンドライド、パークアンドライドの推進、そのための条件整備ということも確かに重要と思います。また、いっそ自転車をそのまま車内に持ち込むことを認めてはどうかと、私は南海電鉄に提案したいというふうに考えています。 現在、島根県の松江と出雲大社を結ぶ一畑電車という私鉄が、1回 300円で平日は9時から16時まで、日曜・祝日は終日車内に自転車が持ち込める制度を導入しております。このほか三重、岐阜、岡山の各県のローカル私鉄が同様のサービスを実施しておりまして、滋賀県の近江鉄道、大阪の水間鉄道でも検討がなされていると聞いております。 貴志川線は、現在2両編成で走っております。朝のラッシュ時はかなり混雑しておりますので無理かとも思いますが、平日のそれ以外の時間帯、また土日は終日1両を自転車持ち込み可というようにできれば、かなり便利になると思います。 市職員が率先して利用するようにせよという御意見は、まことに同感でございます。現在、貴志川線沿線に住む市職員のうち貴志川線を利用しているのは、わずかに7%という状況でございます。これでは全市的に利用を呼びかけても、まず自分たちがやれよという話になり、話にならないんではないかと思っておりまして、現在職員にアンケート調査を行い、さらに所属長との面接をするなどして、利用促進に向け努力をすることにしております。今後は、県や企業等にも呼びかけてまいりたいと思っております。 最後に、大滝ダムについての御質問にお答えいたします。 この際、新たな負担を返上するために立ち上がることこそ、市民の側に立った財政再建の大きな課題であると思うがどうかという御質問でございました。 大滝ダムにつきましては、紀の川流域の治水及び利水を目的として、奈良県吉野郡川上村に建設されておりまして、本市におきましては、上水道及び工業用水道の水源として昭和47年の基本計画策定時から利水者として参画しておりますが、特に上水道の水源としては取水権量のおよそ60%を大滝ダムに依存し、本市の水がめとして非常に重要な役割を担っているダムでございます。 平成14年度に完成するということで、完成すれば夏場の渇水も解消されるのではと期待し、待ち望んでいたところでございますが、完成後の試験湛水中に白屋地区に亀裂が発生したことで、国からは平成14年度としていた完成年度をこの対策を行うため延期したい、また事業費と工期の算定には時間を要するなど、大滝ダム建設事業の基本計画の見直しを示唆する報告がございました。 本市といたしましては、前回第4回の変更が最後の変更であるということで、議会の了解も得てまいりましたこともございまして、今回の変更については、新たな事業負担のないような措置を講じていただきたい旨、要望を国に行っていたところでございますが、今回、特定多目的ダム法に基づき、大滝ダムの基本計画を変更する意見照会が国より届きました。 特定多目的ダム法では、基本計画の変更につきましては、利水者の意見を聞かなければならないとなっておりまして、本市は意見を言える立場でございますので、今後は議員御指摘の経緯を踏まえ、変更内容について十分な精査を行った上で、新たな事業費についてはコスト縮減に努め、できる限り負担を少なくすること、また工期は可能な限り短縮すること、さらに夏季の渇水時には暫定運用などを考慮することなど、市民生活に影響を与えないような措置を講じるなど、利水者として言うべき意見を強く要望してまいりたいと考えてございます。 以上でございます。 ○議長(佐伯誠章君) 楠本水道局長。 〔水道局長楠本喬二君登壇〕 ◎水道局長(楠本喬二君) 26番貴志議員の御質問にお答えします。 和歌山市がこれまで負担してきた 191億円は、利用水量をどれだけに見積もって負担金額が決められ、また新たに負担を求められている上水道と工業用水道を合わせて16億円の根拠はどうなっているのかとの御質問でございます。 大滝ダム建設負担金の負担割合につきましては、特定多目的ダム法に定められた割合に基づいて、治水者79.2%、利水者20.3%、発電利用者 0.5%となってございます。 和歌山市は利水者として使用権を設定しておりますが、利水者負担分につきましては、利水者の応分の利水量に基づいて算出されており、大滝ダムの全体利水量は毎秒 7.0立方メートルで、そのうち本市の利水量が上水道で毎秒1.54立方メートル、工業用水道で毎秒0.51立方メートル、全体の負担割合では上水道4.47%、工業用水道1.48%であることから、平成14年度までの大滝ダム建設事業費 3,210億円に対する本市の負担金が約 191億円となってございます。 新たに負担を求められている上水道と工業用水道を合わせて16億円の根拠につきましては、追加事業費 270億円に本市の負担割合、上水道4.47%、工業用水道1.48%の合計5.95%を乗じて算出してございます。 次に、工業用水の必要量を確保するため、ダム建設に負担金を支出しているのだから、企業の縮小や廃業に伴う減量に対して、何らかの処置を考えておく必要があると思うがどうかという御質問でございます。 議員御指摘のとおり、工業用水の給水量につきましては、ユーザーの需要量の求めに応じ、不足する量については、ダム建設に参画し、必要量を確保してきたものでございます。工業用水道事業は、こうした先行投資資産を抱える典型的な施設型企業でございますので、経営の安定化を図る上で、投資資産の一定部分を責任水量とする責任水量制を採用してございますが、今後もこうした仕組みをユーザーに御認識していただき、責任水量制を堅持してまいりたいと考えてございます。 しかしながら、現在の産業界を取り巻く環境は、産業構造の変化に伴い、使用水量が減少傾向にあって、今後の水需要につきましても不透明さを呈しているのが実情でございますので、議員御指摘の縮小や廃業に伴う減量に対して、何らかの処置を検討しなければならないと考えてございます。 次に、工業用水の需要量の変遷と今後の見通し、また採算性について具体的にどうかという御質問でございます。 まず、工業用水の需要量の変遷につきましては、過去5カ年の推移を見ますと、平成10年度の年間配水量は1億 3,587万 700立方メートルでございましたが、平成14年度におきましては1億 1,134万 1,315立方メートルとなり、年平均で 4.5%の減少傾向になってございます。 次に、今後の需要量の見通しはどうかということでございますが、過去5カ年は減少傾向にあって、今後も現在の環境下では大きな回復が見込めない状況にあると考えてございます。特に本市の工業用水道においては、責任水量制である河西工水の占めるウエートが大きいことから、企業経営を継続する上で、この需要変動に対応できる体制づくりを確立しなければならないと考えてございます。その意味からも責任水量制を堅持し、より一層の経営努力を図ってまいりたいと考えてございます。 次に、採算性について具体的にどうかという御質問でございます。 過去5カ年の経営状況の推移を見ますと、平成10年度の純利益は2億 9,328万 1,588円でございましたが、平成14年度には5億4,960万 4,398円の純利益を計上してございます。平成12年度までは、ほぼ同じ水準で利益を計上しておりましたが、平成13年度及び14年度に利益がふえてございます。この要因といたしましては、平成13年度に六十谷第1浄水場を、平成14年度には六十谷第2浄水場の運転管理を委託したことで、経営状況を向上させる要因となってございます。 工業用水道の水需要につきましては、先行きが不透明でございますので、今後も引き続き経営努力に努めてまいりたいと考えてございます。 次に、上水道について、10年後の平成26年度と20年後の平成36年の水需要をどのように予測しているかという御質問でございます。 上水道の水需要予測につきましては、平成14年3月厚生労働省との協議の上で、本市の都市計画マスタープランに整合した人口設定を用い、平成26年度において1日最大給水量を21万 2,970立方メートルと予測しております。平成13年度の実績では、1日最大給水量21万 2,906立方メートルでございますので、ほぼ同水準で推移するものと予測してございます。 また、20年後の平成36年度の水需要につきましては、現在予測してはおりませんが、厚生労働省の所管する国立社会保障・人口問題研究所における平成37年度の和歌山市の推定人口は31万 7,615人と予測されていることから、将来の水需要につきましては、減少はするとしても、ふえる要素は極めて少ないと考えられます。今後の設備投資につきましては将来を見据え、十分な精査を行い、過剰投資にならない措置を講じてまいりたいと考えてございます。 以上でございます。 ○議長(佐伯誠章君) 次に、中橋龍太郎君。--32番。 〔32番中橋龍太郎君登壇〕(拍手) ◆32番(中橋龍太郎君) おはようございます。 議長のお許しをいただきましたので、公明党市議団を代表して質問をさせていただきます。 いよいよ春3月、自然の草木も厳しい冬の寒さを乗り越え、若芽が出始める季節になりました。また、社会へ新たに飛び出し、自分の力を信じて頑張ろうと決意され、就職されようとしている若者諸君や、高校進学、大学進学に大きく胸をふくらませている子供たちが一歩一歩と成長する節目の月でもあります。 また、長年にわたり職務を遂行され、めでたく退職を迎えられる皆様には、第二の人生をお元気で過ごされますことを祈念いたしますとともに、今後とも和歌山市の市民の一人として各地域におかれましても、これまでの経験を生かされ、時には厳しく、時には優しく、御指導をよろしくお願い申し上げます。 さて、市長におかれましては、2度目の新年度予算、2004年度当初予算編成を終え、議会に上程されました。また、同時にマスコミ各社にも発表され、それぞれのマスコミの論説において多種多様の評価を受けられています。マスコミ出身の市長においては、逆の立場となられ、評価する立場から評価される立場として、複雑な思いを感じられているのではと推測いたします。今になってみれば、聡明な市長ですので、各種マスコミ紙の評価を選別されて読んで、価値あるものと価値のないもの等をあわせて地方自治に反映されていると思います。 そのことを踏まえ、私たち公明党市議団として生活者の目線に立って、平成16年度行政施策及び予算編成に関する要望書を昨年12月18日に提出させていただきました。財政が厳しい折、市民と協働を図る上からも、まず市長並びに市職員が一丸となって市民の信頼回復に努め、市民サービスの向上や安全で安心な市民生活を目指すことを目的に、市長に直接要望させていただきました。 今回は、特に1点目に市勢浮揚、2点目に市民サービスの向上、3点目に東南海・南海地震対策の強化、4点目にむだを省く行政改革の断行、5点目に財政健全化計画の推進等々 114項目にわたって要望いたしました。 また、急に問題となっている廃線が発表された南海貴志川線の事業継続への協議会の取り組みや、重要課題の地震対策への取り組みについては強く要望させていただきました。市長においては、真摯な態度にて対応していただけたことに感謝申し上げる次第です。 一方、国においては、国民の構造改革の声が高まり、三位一体改革と称して国と地方の税財政の見直しのもと、地方交付税と赤字地方債、臨時財政対策債を合わせた実質的な地方交付税が今年度と比べて12%、額にして約2兆 8,600億円減額され、地方自治体として予算編成するに当たって、大変な苦労となっていることも、市長の施政方針の中にそのことが述べられています。 そのことを踏まえ、政府・与党は地方自治体の貯金である基金、つまり財政調整基金の取り崩しだけでは対応し切れないと判断し、自治体が必要な事業を確保できるよう地域再生事業債の新設を決め、発行枠の拡大や財政健全化債の対象拡大を決めています。ただし、地域再生事業債の発行に条件があり、和歌山市として運用可能かを検討する価値はあると思います。 新年度予算案は、一般会計実質 0.1%減の1,253億円で緊縮型となり、厳しい状況であることを痛感せざるを得ないところであります。その中でも、市長は施政方針の中で、将来の和歌山市の発展と安定した市民福祉の実現のため全力で取り組み、新年度を「前進、そして創造の年」とすると、いよいよ大橋市政が過去を振り切り、これより始まるとも感じさせるような方針を示されております。 このことを踏まえ、財政に関して何点か質問いたします。 まず第1点目に、平成14年11月財政再建計画を発表して以来、2 回目の予算編成に当たられたわけですが、今回従来と違ってトップダウン方式と思える財源配分型予算編成方式で取り組んだ理由はどうしてですか。 2点目に、この方式をとることによって、健全化計画にどのような影響を与えることができたのか。また、できたとしたら何%の達成率となるのか。 3点目に、市長自身が市民の皆様に対して胸を張って、これはと自信を持って言えることは何かありますか。 4点目に、逆に市民の皆様に、これは少し我慢してほしいことなどあれば知らせてください。 5点目に、国の三位一体改革で、地方への財源移譲が動き始めましたが、市としての影響はどのようになっていますか。 6点目に、財政再建を目標としていますが、いつまでに再建団体転落を防ぐことができると思われていますか。 以上、6点についてお答えください。 次に、防災への取り組みについてですが、これまで同僚議員、また先輩議員の質問、また特別委員会の中で、市民を守る立場から市の取り組む姿勢が検討され、市の体制で新たな防災室の設置も決まり、いよいよ動き出すわけですが、本当にきょう発生してもおかしくないところまで来ているのが現状だと思います。 各報道機関でもテレビを通じて何度となく地震発生時の対応のとり方、また津波発生時どのような時間帯で、どの範囲を襲ってくるのかと映像を通して伝えてくれております。 先般、私の自治会でも消防署員の指導のもと避難訓練を行い、参加した人たちで、ともに重要性を共感したところであります。また、婦人防火クラブの皆様が地震のメカニズムや対処の仕方等の勉強会をつい先日も実施されたところでもあります。 先般、どこのテレビ局かは忘れましたが、阪神・淡路地震でのいろいろな状況を今冷静になったことで、問題点を各部署の人たちが語っているところがありました。消防署員や地方記者、学校の校長先生、ボランティアとして避難所で対応した人等がおられました。 その消防署員は、火災が多くの箇所で発生したため、自分の持ち場で火災の消火活動をしているとき、次から次へ家屋の下敷きになっているから早くそちらを助けてくれ、こっちの人を助けてくれと、近くの人が消火しているところへ押しかけ、今自分が消火している家の中に人がいるのに、そちらへ助けに行けないことに自分の力の限界を感じたと話されていました。 また、地方記者の方は、地元に密着され活動されているため、避難場所の一つ一つで、ここは何が必要か、何が不足しているので補充してあげねばと、各地と連絡をとり合って対処していたが、大きなテレビ局のマスコミの人たちは避難所に来ては、避難されている方が大変なのがわかっていながら、毛布の一つも運ばず、いかにも私が映像を写しているのが現状とばかりに、インタビューをしようと避難所へ押しかけて、トラブルばかり起こしていたのに、そのようなことはいざ放送すると映像にもしていないし、その中身も話さず、まるで他人事のように避難されている人は大変な状況ですと言っていることに、自分もマスコミの一員としてそのとき言えなかったのが悔やまれると話されていました。 また、家の下敷きになった人たちを救出するため、瓦れきに耳をあて、声がしないかと必死になっているところに、7~8機のヘリコプターが上空をぐるぐる旋回して救出の邪魔になっている。そういうことも大きなマスコミであれば報道機関で協定を結び、1機で上空からその状況を放送すればいいのでは等とも話されていました。 もう一つは、避難所となったある学校の校長先生の話ですが、学校を管理する立場から避難所の皆様に少しでも手助けができればと、最初は皆様の声を聞いて対応に努めていたが、少し落ちつかれてきた2~3日後からは、トイレが汚いので清掃しろとか、食糧配布の際は、うちはまだもらっていないのに、あの人たちは何個ももらっている、どのような管理をしているのか。日がたつにつれ、今度は毛布が臭い、早くかわりの毛布を用意せよ、学校は何している等、あとは言葉にならないほどの非難を受け続けたと話を続けられていました。 その後、ボランティアの方が来られて、避難されている人たちとともにトイレの清掃等も含め、自分たちで運営していただくことができましたともつけ加えておられました。私自身もそれが実際の姿だったんだろうと、日ごろの訓練の重要さを痛感させられました。 このことを踏まえ、防災に関して質問いたします。 まず1点目に、緊急避難所として使用される学校の学校長の役割についてお答えください。 2点目に、津波対策として中小河川での堤防等の補強や対策は、今後どのように進められていかれるのか。 3点目に、小学校、中学校における救急サポートボランティア育成について、どのように取り組まれているのか。 4点目に、各自治会における地震災害時に対する防災啓発等の今後の取り組みについてもお答えください。 次に、青少年行政についてですが、特に最近多く発生しています児童の虐待についてですが、その様相は想像をもつかないほど残虐で、目を覆いたくなり、言葉にもなりません。 児童たちが学校に来なくなった時点で、学校の先生は家庭訪問され、御両親、また御家族の方に状況等尋ねられると思います。不登校になった原因が何であるかを早く察知しない限り対応ができないわけですので、その子の友達等も何らかの情報を知っている場合もありますので、単なるうわさでも敏感に感じて、さらなる手を打って、児童相談所等への通報も十分視野に入れていく必要があると思います。 また、家庭訪問した際、御家族の対応の仕方や言動からも何らかの変化を感じられないものか。普通の家族ならば先生が訪問していただいたなら、一度は顔を見ずに帰ったとしても、二度訪問したら子供に会わせてくれると思います。心配して顔を見せてくれた先生に対して会わせてくれないとなれば、普通は異常としか考えられません。 私も不登校の子供さんを抱えて悩んでおられる御両親の相談に乗ることがあり、学校教育の職員さんやセンターの職員、また学校長や担任の先生にお世話になることがあります。子供たちは大人のような守るすべを知らないわけですから、大人が手を差し伸べて守ってあげねば守ることはできません。心に深い傷を負わないため、またその子の周りの子供も心に傷を負うこともありますので、十分注意した配慮をとっていただきたい。 今国会において政府・与党が提出している改正案が審議されています。現行の児童虐待防止法は2000年5月に成立しました。この法律は、18歳未満を児童とし、虐待について1、身体的虐待で、身体に外傷が生じ、また生じるおそれのある暴行。2、性的虐待で、わいせつな行為をすること、させること。3、ネグレクトで、心身の正常な発達を妨げるような減食、長時間の放置など監護を著しく怠ること。4、心理的虐待で、著しく心理的外傷を与える言動と初めて法律上の定義を明確にし、その上で、何人も児童に対して虐待してはならないと虐待禁止を明記し、しつけに名をかりた暴力などから子供たちを守る法的な基準が示されています。 この法律がありながらもデータ的には少し前になりますが、2002年--2年前で相談件数が全国で年間2万 3,738件になり、相談の中身は身体的虐待が46.1%と最も多く、ネグレクト37.7%、心理的虐待12.8%、性的虐待3.5%と。また、虐待を受けた児童の年齢は0歳から3歳未満で20.8%、3歳から学齢前児童29.2%で、合わせると小学校入学前の子供が50%を占めています。次いで、小学校生35.3%、中学生10.5%となっています。 一方、主たる虐待者はどうなっているかというと、実母が63.2%と一番多く、次いで実父が22.4%、実父以外の父 6.7%、実母以外の母 1.6%となっています。 現行法では、児童相談所の職員が住居への立入調査を行ったり、警察官の協力を得て親が立ち入りを拒めば、かぎを外して家の中に入り、子供を保護することも可能ですが、実際に立入調査を行うかどうか、それぞれの児童相談所の判断にゆだねられ、地域によってはかなりのばらつきがあるようです。 先般、岸和田市の中学3年生が食事を与えられずに衰弱死寸前まで虐待された事件では、児童相談所が立入調査権を行使しなかったことが問題になりました。 今回の改正案では、警察に援助を求める規定について、児童相談所長や知事に対し適切な運用を義務づけるとともに、立入調査を拒絶された場合、速やかに警察署長に通告するという義務を加えています。子供を守るということを最優先に取り組む、その1点での改正案であります。虐待を受けた子供に対する支援措置も新たに盛り込まれています。この改正案も今国会で成立すると思います。 そのことから1点だけ質問いたします。 児童虐待について、和歌山市としてどのような取り組みをされているのかをお聞かせいただきまして、公明党市議団を代表しての質問とさせていただきます。大変にありがとうございました。(拍手) ○議長(佐伯誠章君) 大橋市長。 〔市長大橋建一君登壇〕 ◎市長(大橋建一君) 32番中橋議員の御質問にお答えいたします。 まず財政問題でございます。 平成16年度当初予算編成に当たり、財源配分型予算編成方式で取り組んだ理由でございますが、もちろん市税収入が年々減っている現状では、従来の積み上げ方式は限界に来ているということが大きな要素ではございます。 しかし、この方式を取り入れることによりまして、危機的状況にある本市の財政の実態を職員が肌で感じてもらう効果が大きいと私は考えておりました。各部局が配分された財源の枠内でやりくりに創意工夫を重ね、これまでの前例踏襲型の予算編成方式から、より効率的、効果的な予算編成を行ってもらえると期待したのでございます。 各部局の職員は、初めての取り組みでもあり、大変苦労しただろうと思いますが、財布にはこれだけしかないという意識と節約すれば新規事業が実施できるという意識が生まれたことは、大きな成果であったと思います。 財政部的な視点、つまり査定する立場での事業評価と事業部的な視点での事業の順位づけとは判断が異なることが往々にしてございます。厳しい中だからこそ当該事業部の自主性を重んじ、その判断を最大限優先することで、各部局からかなりの新規事業が提案、採用され、めり張りのある予算編成ができたと考えているところでございます。 次に、財源配分型予算編成方式の導入により、財政健全化計画にどのような効果を及ぼしたかという御質問でございますが、平成16年度当初予算は、歳入におきましては、市税収入の伸びが見込めず、また三位一体改革による国の地方財政計画の見直しに伴い、地方交付税と臨時財政対策債が大幅に削減される一方、本格的な税源移譲が先送りされ、また歳出におきましても、生活保護費を初めとした扶助費の増加などの諸事情により、大幅な財源不足が生じる厳しい財政状況のもとでの予算編成となりました。 このため、仮に財源配分型予算編成方式を導入していなければ、平成16年度の当初予算編成はできなかったのではないかとも思っております。その意味から、財源配分型予算編成方式の導入は、財政健全化計画を進めていく上において、大きな意味と効果を持つものであると考えてございます。 なお、議員御質問の達成率につきましては、具体的にお答えすることは難しいものがございますが、少なくとも財源配分型予算編成方式を導入していなければ、財政健全化計画の目標を達成していくことは困難になるものと思っております。 続いて、市長自身が市民の皆様に胸を張って、これはと自信をもって言える、この予算編成の中身は何かということでございます。 平成16年の当初予算は、国、地方を通じて大幅な財源不足に悩まされ、一段と厳しい予算編成となりましたが、この財源配分型予算編成方式を取り入れたことによりまして、限られた財源の範囲内ではございますが、将来の和歌山市の発展と市民生活の安定に必要な新たな事業、とりわけ津波ハザードマップ等の作成、個人木造住宅耐震診断事業の実施、小・中学校施設等耐震設計などの総合防災体制の整備、中心市街地活性化事業を初めとしたまちづくりの推進、学力向上プログラムや小・中連携教育の試行、カウンセリングルームなどの教育のパワーアップに関連する事業については、重点的に予算配分を行うことができた。このことは、市民の皆さんに自信を持ってお答えできると思っております。 次に、市民の皆さんに、これは少し我慢してほしいと思っていることがあれば言えという御質問でございました。 平成16年度の当初予算、市税収入の伸び悩み、三位一体改革の影響によりまして、先ほども申し上げましたように、大幅な財源不足が生じております。これまで他都市に比べ比較的低い水準にありました使用料及び手数料につきまして、ほぼ9年ぶりではございますが、やむを得ず市民の皆様に御負担をお願いしなければならなかったこと、これが一つであります。 また、中核市で唯一実施しておりました高齢者の入院時食事療養助成制度につきましても、介護保険による入所者との間で食事にかかる費用負担に不平等が生じていること、国保会計において国から受けているペナルティを改善する必要があることもございまして、見直さざるを得なくなりました。これによって影響を受けられる市民の皆様には、御理解をお願いするものでございます。 なお、乳幼児と重度心身障害児・者、母子家庭等の3医療については、現行どおりとしているところでございます。 次に、三位一体改革による本市の平成16年度予算への影響はどういうことになるか。 地方財政計画の見直しに伴い、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた総額は、前年度に比べおよそ16億円の減収となっておりまして、その一方で税源移譲につきましては、所得税から住民税への移譲を行う方向は確認されましたものの、具体的な内容につきましては先送りされたことによりまして、最終的におよそ14億円の財源不足を生じ、やむを得ず財政調整基金を取り崩して予算編成を行ったところでございます。 このような三位一体改革は、地方の自由度を高めていこうとしているときに、財政面において自主性が大きく阻害され、制約されることになりまして、地方の独自性を発揮した施策がほとんどできないようなことになる、そういう危惧しているところでございます。 次に、いつになったら財政再建団体への転落を防ぐことができるめどが立つのかというような御質問でございましたが、私としましては、和歌山市を再建するためにも、一日でも早く本市財政の健全化を図っていかなければならないと思っております。 このため、平成14年11月に財政健全化計画を策定して以降、本計画に基づきまして、健全化のための対策を積極的に講じてまいったところであり、仮に財政健全化のための対策を講じていなければ、本市財政は一層憂慮すべき事態に追い込まれているものと思っております。 しかし、地方の財政運営は、国の地方財政計画に左右される側面を持っております。したがいまして、国の三位一体改革に伴い、本市財政を取り巻く環境がますます厳しい状況におきましては、即効性のある解消策はございませんが、赤字再建団体への転落は何としてでも回避しなければなりませんので、そのためにも、財政健全化計画の中期計画の最終年度である平成18年度の目標達成ができるよう、行政改革と財政の健全化に全力で取り組んでまいる所存でございます。 防災行政に関しまして、津波対策として、中小河川での堤防等の補強や対策は今後どのように進めていくのかという御質問でございました。 海に直接流れる市管理の河川は、加太地区の大谷川、磯ノ浦地区の川尻川、西浜地区の大浦川、和歌浦地区の市町川の4河川でございます。 これらの河川構造は堀込河川であり、これに堤防を新増設となりますと用地確保等が非常に困難なため、川尻川、大浦川につきましては、河口にあります県管理の樋門等施設の補強、また自動化等を県に要望していくとともに、大谷川、市町川につきましては、県河川及び港湾施設との整合性が必要となりますので、今後、県と協議検討し、対応してまいります。 また、県管理河川等の県の対応につきましては、既設の水門、樋門のうち施設の規模、構造、操作状況、被害想定や背後地の状況等を勘案いたしまして、必要性の高い施設について自動化、遠隔操作化、集中管理化について整備検討を進め、港湾、海岸の施設と河川の堤防の高さについて整合を図るなど、一体となった整備を進めていくと伺っております。早急に整備されるよう強く要望してまいります。 残る御質問については、関係部長より答弁させていただきます。 以上でございます。 ○議長(佐伯誠章君) 中岡福祉保健部長。 〔福祉保健部長中岡安美君登壇〕 ◎福祉保健部長(中岡安美君) 32番中橋議員の御質問にお答えします。 児童虐待について市としてどのような取り組みをしているのかとの御質問でございますが、児童虐待に関する本市の取り組みといたしましては、子供とかかわりの深い4部局--福祉保健部、企画部、市民部及び教育委員会の関係課で構成する和歌山市行政組織児童虐待防止連絡会議を平成13年6月に設置しています。同会議では、各課で児童虐待について同じ視点でかかわることができるよう、事例研究や研修会を通じて、情報や意見交換を行っております。 中でも児童虐待に特にかかわりの深い保育所管理課、こども家庭課、保健対策課及び子ども支援センターの4課で定例では月に1回、緊急では随時、連絡調整会議を開催しております。情報の共有化と役割分担の明確化による援助を行い、迅速な初期対応を図っております。 また、平成16年度から家庭児童の福祉に関する相談及び指導業務の充実、並びに児童相談所との一体的な連携を図るとともに、業務に関する相互関係を円滑なものにするために、福祉事務所こども家庭課内に家庭児童相談室を設置する予定であり、より一層児童虐待の早期発見に資するものと考えております。 なお、児童虐待の早期発見、早期対応については、体制の整備とともに庁内の子供とかかわる関係課職員の認識の強化と初期対応の重要性をかんがみ、関係課の全職員に対する児童虐待防止マニュアルを本年度中に配布する予定ですが、市の体制もさることながら市民の協力が必要であると考え、市民または児童の保護者に対するパンフレット等を年2回度配布し、啓発に努めているところでございます。 以上でございます。 ○議長(佐伯誠章君) 山口教育長。 〔教育長山口喜一郎君登壇〕 ◎教育長(山口喜一郎君) 32番中橋議員の御質問にお答えいたします。 まず、学校が緊急避難所となった場合の校長の役割につきましては、和歌山市地域防災計画で施設管理者として位置づけられております。 緊急避難所の業務として、避難者数の把握、食糧・生活必需品の調達及び配給、仮設トイレ・ふろの設置等施設の改善、負傷者や急患患者に対する援助活動、避難住民の苦情処理、情報提供等多岐にわたることが予想され、阪神・淡路大震災の折には、学校長に大きな負担がかかったと伺っております。 和歌山市地域防災計画では、避難所は派遣職員が運営員となり、施設管理者と協力して運営に当たることとなっておりますが、教育委員会といたしましては、非常災害時において、児童生徒の安全確保や動静の把握が校長の最も重要な職務であるという認識のもと、避難所の運営にどのようにかかわっていくか関係部局と協議してまいります。 次に、小学校、中学校における救急サポートボランティア育成についての御質問でございますが、東南海・南海地震による大きな被害が想定される本市では、自分たちの住む地域が、まさに被災地となる確率が高いと指摘されています。被災地にまず必要なことは、被災地内の助け合いであると考えます。児童生徒一人一人が自分自身の命を自分で守ることを大前提にして、自分たちの地域は自分たちで守るという基本に立って、自分のできる範囲のことを自発的に行うことが大切であると考えております。 このような意味で、議員御提言の災害時における救急サポートのボランティア活動は、大変大切な防災ボランティア活動であると考えます。 防災ボランティアの育成のためには、児童生徒が平常時から広くボランティア活動等の体験学習を通して、思いやりの心や社会奉仕の精神を培うとともに、実践的な対応能力、態度、習慣を身につけていくことが重要であると考えております。 現在、各小中学校では、総合的な学習の時間や特別活動等におきまして、学校や地域の実態に即してさまざまなボランティア活動に取り組んでおります。今後、さらに児童生徒が災害時におけるボランティア活動の大切さについて理解を深めるために、各学校において本年度作成した防災副読本等を有効に活用し、積極的に防災教育を進めてまいります。 以上でございます。 ○議長(佐伯誠章君) 相坂消防局長。 〔消防局長相坂 勲君登壇〕
    ◎消防局長(相坂勲君) 32番中橋議員の御質問にお答えいたします。 各自治会における地震災害時に対する防災啓発等の今後の取り組み方についての御質問でございます。 現在、消防局防災課が各消防署と連携を図りながら各自治会の皆さん方を対象に、地震災害に対する正しい知識を身につけていただくため、地震や津波の発生メカニズム、地震から身を守るための行動、家具の固定、避難するときの心得、家庭における避難の際の生活必需品の備蓄等に関する啓発や避難訓練、また初期消火訓練等を行っているところでございます。 また、平成13年度から沿岸地域の自主防災会のリーダーの皆さん方を対象に、図上訓練を実施し、避難経路の確認や自主避難地の選定、避難方法等について研修を行っております。さらに、この研修を行った翌年には、津波を想定した避難訓練や応急手当訓練、簡易救助資機材による救出訓練等も実施しております。 新年度からは防災担当部局が消防局から市長部局に移管され、全庁体制で防災対策を推進する総合防災室が新たに設置されますが、この総合防災室と消防局が連携を図りながら、引き続き住民の皆さん方を対象にした防災知識の普及・啓発や訓練を推進してまいります。 以上でございます。 ○議長(佐伯誠章君) しばらく休憩します。          午前11時44分休憩   -------------          午後1時11分再開 ○副議長(東内敏幸君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 日程第2の議事を継続し、質問を許します。 メ木佳明君。--22番。 〔22番メ木佳明君登壇〕(拍手) ◆22番(メ木佳明君) それでは、議長のお許しをいただきましたので、民主クラブを代表して質問をさせていただきます。 まず最初、財政改革について申し上げます。 本市の平成16年度予算を見ますと、歳入は市税収入の落ち込み、臨時財政対策債の大幅減などが見込まれ、また歳出においては、生活保護費などの扶助費の増加が予測され、非常に厳しい状況であります。 平成16年度予算の概要に、「危機的状況にある本市財政の健全化は引き続き取り組んでいかなければならない最大の課題でありますが、事業を縮小・廃止するばかりでは未来は開けてまいりません」とあります。 そこで、出口が見えにくい長期不況の中、未来を切り開くために、行財政改革に取り組み、事務事業の見直し等をすることは大変重要であります。その中で、行政のむだを省き、歳出を抑えることは当然でありますが、同時に財政改革、収入をふやすことも大切であります。 本市の一般会計から特別会計への繰出金の推移を見ますと、平成11年度が 124億 8,221万 3,000円で年々増加してきており、平成16年度当初予算額で 179億 6,576万 2,000円になってきております。このままいきますと、一般会計からの繰り出しがふえる一方、特別会計の赤字補てんで一般会計まで圧迫され、市民サービスに支障を来す事態となってしまいます。 そこで、ほとんどの特別会計が一般会計から繰り入れられておりますが、例えば土地造成事業特別会計と下水道事業特別会計について発想の転換も含め、繰入金を減らす施策についてお尋ねしたいと思います。 まず最初、土地造成事業特別会計についてでありますが、この事業は、当初、地域の発展に伴う人口増加や核家族化等、新規住宅需要に対応するための住宅政策の一環として、恵まれた自然環境のもと、良好な宅地等の供給を目的に着手されました。 昭和49年度から53年度まで用地買収が行われ、約10年後の昭和63年度から平成9年度まで造成工事が実施され、平成10年より分譲が開始されました。 この間、大阪湾環状道路網の形成に重要な役割を担う紀淡連絡道路の早期実現、京奈和自動車道の早期完成、加太新駅構想など将来的には本市北西部の中核的な一大ニュータウンとして、バラ色の団地として期待されていた時期もあったように聞いております。 しかし、バブル経済崩壊等、社会経済情勢の急転により、土地の売却代金で借入金利息も賄えないという今日の情勢に至ったのであります。そして、今日までの事業費は、用地購入費、造成工事費、利息等を合計すると340億円を超えてきております。さらに、地方債 227億 1,240万円の償還期限が迫ってきております。年度別に見ますと平成15年度に13億 8,010万円、平成16年度に52億 6,770万円、平成17年度に91億 9,320万円、平成18年度に18億 3,710万円、平成19年度に50億 3,430万円となっております。 それで、償還できないため、財政健全化計画に基づいて平成15年度に7億円、16年度にも7億円が一般会計から繰り入れる予算を計上されております。そして、17年度以降も繰り入れをし、借りかえによって償還期限を延長しようとするものであります。しかし、この繰り入れは、単に借金を先送りするためで、根本的な対策となっておりません。 さらに、16年度には86区画、6億 8,164万8,000円以上、引き下げ率48.9%で売却しようとしております。仮にすべて売却できたにしても残りの 452区画をどのように販売するかの方針も持った上での策でなくてはならないと思います。 そこで、完売するための施策として、スカイタウンつつじが丘にどれだけの付加価値をつけられるのか、それに対して幾ら投資が必要か、投資額以上の回収が見込めるのか検討していく必要があります。例えば、付加価値を高めるのに最も効果のあるのは、住む人の利便性を考えて、交通アクセスの整備であるというふうに思います。それで、スカイタウンつつじが丘にバスを運行してみてはどうか。 次に、全部売却するためにスカイタウンつつじが丘をひとつの町として形成していく必要があります。既に造成工事も終了しており、あとはまちづくりに重点を置いて取り組むべきであります。そのためスカイタウンつつじが丘分譲課の所管を建設部からまちづくり推進室に移管してはどうか、市長のお考えをお聞かせください。 次に、下水道事業特別会計についてですが、近年における都市環境の悪化、及び河川、海域等の公共水域における水質汚濁の進行は、大きな社会問題となっています。このような実情に対処するため、公共水域の水質汚濁防止、雨水による浸水防除、伝染病対策、水洗化の促進による生活環境の快適化を達成するため、公共下水道の整備は本市において急務の課題であります。 御承知のように下水道事業の役割は、1つ、水は人間の生活や産業活動に利用されることにより、汚水となって排出されます。これら家庭や工場等から下水処理場へ送られてきた汚水は、生物化学的に浄化処理されて川や海に戻され、きれいに保たれます。 2つ、下水道ができると台所やふろや洗濯場などの排水も下水道管に流されますのできれいな町になり、公衆衛生の向上が図られます。 以上のように、快適で文化的な生活環境を築く目的で、今日まで事業に取り組まれてきましたが、財政的に見直す必要があります。 下水道事業特別会計への繰出金については、平成11年度で65億 4,673万 4,000円であったものが、平成16年度には80億 2,653万 3,000円が予算計上をされております。このまま年々繰出金が増額する中で、繰出金を減額しつつ財政を好転させる施策についてお尋ねいたします。 まず、水洗化率の向上についてですが、平成14年度末で64.3%となっていますが、これを 100%にすれば、年間約10億円の使用料の増収が見込めます。面整備が完了していながら64.3%しか接続されていないというこの実態に注目すべきではないかというふうに思います。 対策として現在1人しかいない普及指導員を大幅に増員し、また効果を上げるためにも歩合給の導入も検討すること。同時に、接続しないという家庭の理由を調査し、現在の5万円の助成金のあり方、金額の増額と対象期間を検討すれば、その指導員に要する経費及び助成金の増額分は十分回収でき、市の財政に大きく寄与できるものと思いますが、市長の考えをお聞かせください。 以上で財政改革に関する質問は終わりますが、冒頭でも申し上げましたが、事業を縮小、廃止するだけで、それでは未来は開けませんと言いながらも、16年度予算は縮小、廃止ばかりという感は否めません。これで未来は開けるのでしょうか。今こそ一歩を踏み出して、収益を上げる事業には大胆に投資すべきではないでしょうか。特に教育、福祉といった予算は将来への投資といった考えで、ぜひ市長には新しい和歌山を再生させていただきたいというふうに思います。 次に、まちづくりについて申し上げます。 和歌山市は瀬戸内海国立公園の一角を占めており、豊かな自然と温暖な気候に恵まれた町であります。市域には和歌山城を初め紀三井寺、岩橋千塚古墳群など数多くの史跡があり、和歌浦、雑賀崎などは万葉の時代からの景勝地として、その歴史があります。また、高野・熊野の世界遺産登録にあわせて和歌山市を売り出す絶好の機会でもあります。 しかし、十分なまちづくりができているとは言えないのではないでしょうか。平成16年度からの組織改正で部の新設としてまちづくり推進室が設置され、観光課が産業部からまちづくり推進室に移管されます。そして、まちおこし推進課を新設して、主に中心市街地活性化事業の推進を目的としております。 和歌山市は古くから城下町として栄え、繊維や染色、皮革や木工などの地場産業や商業が町の基幹産業として発展してまいりました。これからのまちづくりは、特徴のあるまちづくりをしなければ人も集まってきませんし、活性もあり得ません。 和歌山市の中心で、和歌山市の特徴といえば史跡和歌山城であります。徳川御三家紀州55万 5,000石の栄華を今に伝える和歌山城は、虎伏山にそびえる天守閣、重要文化財に指定されている岡口門など、いにしえの人たちが守ってきた歴史と誇りを次代にもつないでいきたいものであります。 そこで、和歌山城を中心として区域指定をし、都市景観を保全する景観条例の制定によって、城下町和歌山市を活性させるべきではないでしょうか。旧丸正の活用だけで中心市街地が活性化するものではありません。 景観は、町の貴重な財産であります。「美しいまちなど、はじめからあったわけではなくて、そこに住む人が、美しく住もうと努めて、はじめて美しいまちになるのである」と民俗学の柳田國男氏の言葉にあります。これからの時代は、美しい町にしなければ人は集まらず、町の発展もないと思います 現在、和歌山城御橋廊下復元工事に取りかかっておりますが、景観条例によって、和歌山城とその周辺を和歌山市の財産として位置づけ、まちづくりをしていくことは、中心市街地の活性化につながると思います。公園前から京橋を経て、旧丸正への町並み、そしてぶらくり丁へといったように、和歌山城周辺を歩いてみたくなるようなまちづくりの構想を景観条例の制定を含めて市長の考えをお聞かせください。 以上で、民主クラブを代表して私の質問とさせていただきます。元気のある和歌山市、元気のある御答弁をお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(東内敏幸君) 大橋市長。 〔市長大橋建一君登壇〕 ◎市長(大橋建一君) 22番メ木議員の御質問にお答えいたします。 まず、スカイタウンつつじが丘への路線バス導入についての御質問がございました。 スカイタウンつつじが丘は、平成10年に一般分譲を開始して以来、およそ 140世帯、400人が居住されておりますが、一般宅地を初め大規模用地の販売には大変苦慮しているところでございます。 このため、議員御提案の同団地内への路線バスの乗り入れにつきましては、販売促進のための付加価値要因の一つとして、また同団地や周辺住民の利便性の向上を図るため必要なことだと思っております。どの駅を結ぶ路線が最も利用者にとって便利で、乗客が集まるかなど路線バス運行の実現に向けて検討を続けてまいります。 スカイタウンつつじが丘の、さらに現在の分譲状況につきましては、今も申し上げましたように大変難しいところに来ているわけでございますが、このスカイタウンつつじが丘の所管を移管してはという御質問でございます。 民間保育園の誘致、ケーブルテレビ導入など住環境整備に努めておりますが、移管ということにつきましては、市全体にかかわる問題でございますので、まちづくりという観点からもまずプロジェクトチームをつくり、次に組織づくりをして、全庁を挙げて取り組む体制をつくってまいりたいというふうに考えてございます。 下水道事業特別会計の問題での御質問でございます。水洗化率を上げるということについての施策としての御提案でございました。 公共下水道の供用開始から1年以内に水洗便所等を改造して公共下水道に接続した市民に対して5万円を給付する助成金制度を昨年の4月1日より実施いたしております。現在のところ供用開始して1年以内に公共下水道に接続した件数を実施前と比較してみますと、およそ11%の増加となっておりまして、効果が上がっていると考えております。 また、水洗便所等の改造工事を行う市民に対して、金融機関への資金融資のあっせん制度も行っており、この制度により金融機関から融資を受けた市民に対して、その発生する利息等を給付する水洗便所等改造資金利子補給制度を平成16年度の新規事業として予定いたしております。 このほか供用開始に伴う地元説明会及び供用開始区域内の未水洗化家庭を戸別訪問して、公共下水道への接続を勧誘する普及指導員制度を実施しております。この制度も公共下水道の普及において重要な役割を持っておりますので、ただいま議員の御提案のとおり、今後、普及指導員を増員するとともに、普及指導員制度を歩合給を含めて抜本的に見直し、さらに一層の充実を図り、水洗化促進のための効果的な施策を取り入れてまいりたいというふうに考えてございます。 次に、現在、浄化槽を設置している家庭への補助金の問題でございますが、未水洗化家庭の要因といたしまして、借地借家、それからコスト問題のほかに浄化槽を設置している家庭が多いことも要因の一つとなっております。浄化槽を設置している市民にとっては、設置時の費用の上に公共下水道へ接続するための費用負担があり、このことが公共下水道への接続をしようとする場合に、大きな阻害要因になっているものと思われます。 こうした観点から、御意見のように助成金制度全体の拡充につきましても、さらに検討していかなければならないと考えております。 今後、普及指導員等を通じて市民の幅広い意見を聞きながら、水洗化率の向上を図るための方策をあらゆる面からさらに検討してまいりたいと考えております。 まちづくりについて。和歌山市を活性化させるためのまちづくりは、城下町という観点で景観条例を制定し、和歌山城を中心に都市景観を保全し、中心市街地への活性へと結びつけるべきではないのかという御質問でございます。 議員同様、私もまちづくりを進める上においては、町の持つ資源、資産を活用することが重要であると考えております。 和歌山市の持つ資源であります人材、穏やか気候風土、風光明媚な海の景観などとともに、その歴史、文化を活用することが、和歌山市らしい地に足のついたまちづくりには大切なことであり、議員御指摘のように、本市中心部に位置し、徳川御三家以来の本市の象徴とも言える和歌山城とその城下町として栄えた歴史をまちづくりに生かし、景観というものも含めたその魅力を十分に活用していくことが、中心市街地を初めとする本市の活性化を図る上で重要であると考えております。 景観につきましては、東京都国立市における住民の景観権を主張した裁判でも、これを認める判決が出ておりまして、またあらゆる地点からの城の眺望景観を確保するための条例を検討中の地方自治体もあると聞き及んでおります。 和歌山市内におきましては、県庁前にあるビルの大きな屋上看板によって遮られておりました和歌山城の景観が、昨年、関係者の御協力と御努力によって回復し、改めて和歌山城の美しさが市民の間に再認識された例もございます。 こうした現下の状況にかんがみまして、今国会には景観法が上程され、これに基づき現在、国、その他において景観緑三法に関する研修会等が開催されております。 議員御提案の景観条例につきましては、こうした会に出席し、意見交換をするとともに、基本的な資料等の収集及び研究を行いながら、条例等作成に向け検討しているところでございます。 以上でございます。 ○副議長(東内敏幸君) 次に、森田昌伸君。--37番。 〔37番森田昌伸君登壇〕(拍手) ◆37番(森田昌伸君) こんにちは。 2問目というと、大変皆お疲れだと思いますが、しばらくおつき合いをいただきたいと、かように思います。 疲れと言えば私ごとで恐縮なんですが、きょうは頑張ろうと、きのう肉を食べに久しぶりに行きました。4人で行ったんですが、2名が胃の調子が悪くて、1人がきょうは口がはれたと言っております。ですから、常日ごろやっぱりなれないことをするといけないなと思って、これからやっぱり湯どうふを食わないかんなと、こう思っております。大変体の方が大事ですんで、議場の皆さんもお疲れには十分注意していただきたいと、かように思います。 それでは、議長の許可を得ましたので、新政クラブを代表しまして質問をいたします。 大橋市長が和歌山市のかじをとられて、はや2年。先般、平成16年の施政方針が示され、それに伴う当初予算案が提案されました。厳しい財政事情を背景にしながら、新たな年に向けて本市のあるべき姿をまとめるために、艱難辛苦、御苦労されたことについて敬意を払うところであります。 本議会は、市長が示された施政方針に基づくこの1年の市政運営をおおむね決定づける大事な会議でありますから、昨年策定された重点課題としての7つのKを参照しつつ、市政をどのように展開されようとしているのかお尋ねいたします。 施政方針で分析されておりましたように、国の経済財政運営と構造改革に関する基本方針いわゆる三位一体の改革は、全国の地方団体に非常に深刻な影響を及ぼしています。新聞各紙によれば、香川県は当初 370億円の財源不足を見込んでいたが、総務省の予算説明を受けた結果 510億円の不足となり、基金をすべて崩し、歳出をさらに切り詰めたが、それでも足りない。岡山県では、国体開催のために積み立てた基金や土地開発基金など、本来なら手をつけてはいけない基金にまで手を出した。 そして、和歌山県の当初予算案では、前年比10%以上となる約 290億円の減少を余儀なくされそうだ。景気の回復傾向で県税収入は若干の増加で 800億円近くになる見込みだが、交付税の減少を補うにはほど遠いのが実情等の記事で一目瞭然であります。まして、我が和歌山市においては、行政各分野にわたり深く影響があらわれていることが、本年度予算案から感じ取られます。 施政方針には、平成16年度予算では、公立保育所運営費補助金や介護保険事務費交付金など国庫補助が削減されたとあり、地方分権最大の課題である税源移譲は、暫定的な措置として所得税の一部が移譲され、歳入項目として所得譲与税が新設されたことにとどまったと記述しておりました。 このことをわかりやすく表現すれば、補助金、交付金の削減を補うために、所得譲与税6億 4,500万円を歳入予算として新設したが、一般財源化という名目のもとに削減された補助、交付金の方が多額のため、所得譲与税は本市の歳入財源とはなり得ていないということであります。 本市の歳入に係る問題点を考えてみますと、ここ10数年来の不況による税収減や国の景気対策の一環で奨励された建設事業は、その財源を地方債に頼っていたため、現時点に至って償還期限を迎え、平成16年度予算では民生費の 420億円に次ぐ 233億円余りが計上されているように、公債費の償還が多額になっていることが大きな要因だと考えます。 このため、社会の変化から生じる新たな行政需要に対応して実施しようとする事務事業を賄う歳入が不足する事態が続いております。これを補うための財源として臨時財政対策債、いわゆる赤字地方債が認められていましたが、やはり三位一体の改革により、それが極端に削減されているそうであります。 本市では、平成16年度予算編成に当たり、臨時財政対策債分約19億円の財源に穴があき、その手当をするために財政調整基金14億円などを取り崩さざるを得なかったと聞き及んでおります。 2月14日付の朝刊には、「16年度の地方財政計画における交付税の大幅縮減で自治体の予算編成に混乱が生じている現状について、『三位一体改革は一昨年から議論されており、『今年度はそこそこの規模の改革がある』と思った自治体とそうでないところの差が出たようだ。(地方財政計画の方針を)各自治体に周知徹底をしなければならないと反省する点もある』」と、総務大臣の談話が掲載されておりましたが、本市も他の地方自治体と同じように、見直すべきところがあるにせよ、固有の諸事情のため、一律的に事務事業の整理が進められているものではないということがわかっているだろうに、何と冷たい言葉なんだろうと驚いたところであります。 一方、歳出面では、国制度として運用されてきた生活保護費や各種の生活援助費などの扶助費が、際立って大きな予算額として計上されております。これら扶助費の多くは法律で定められた制度によるものだから、本来、国費で賄われることが筋だと思われますが、今後、場合によっては国庫負担額がさらに削減される可能性があるように仄聞するところで、仮にそういうことになれば、本市の財政運営は事実上破綻するのではないかと危惧するところであります。 市民福祉は、市政の重要な役割であります。したがって、その充実を図るべきは当然であり、必要と認められる市民に必要とされる手当を施すことが行政のありようだと認めているところですが、市中からはそうした制度であることを正しく理解していない市民がいるため、社会的な悪影響が生じているという声をよく聞きます。 加えて平成16年度予算案では、保育料の改定など歳入に関する項目はすべて見直され、一定の所得を得て生計を立てている市民にとって、実質上の値上げが実施されようとしています。市民側から見れば、所得が減少している中で、公共料金の負担増となるものであります。適正な負担はやむを得ないと考えるところですが、社会的、市民的公平が担保されていることが基本であり、そういう意味においても制度運用を厳格にするとともに、制度そのもののあり方を検討すべき時期に来ているように考えるところであります。 それにしても国と地方自治体は対立し合う存在ではなく、国家を形成する一体の機構であると認識しているところですが、最小単位である市町村自治体に過去の経済施策のふぐあいを直接押しつけるような国の政策は、納得できるものではありません。 ところで、一昨年11月に発表された本市財政健全化計画の「第2 中期財政計画の策定」によれば、「普通会計における平成14年度予算を基礎として試算した収支見込みは、平成18年度で約 120億円の財源不足が見込まれ、『財政再建団体』への転落寸前という最悪の事態をも想定せざるを得ない状況に直面している」ため、「今後の収支見込みで予想される財源不足を解消するための方策を示し、財政運営の指針とする」とし、「多額の赤字を抱えた特別会計の健全性を視野に入れながら、普通会計の収支バランスを確保することが最大の目的」であり、「平成18年度には財政調整基金などの一般財源基金約37億円を確保し、起債制限比率を13%に抑制することを当面の目標として取り組む」と説明されたところであります。 厳しく変化する財政環境に身を置く和歌山市にあって、本市独自の財政健全化計画に沿った財政運営をどのようにうまくリンクさせようとしているのかは、重要な問題だと認識しているところであります。 そこで、市長にお伺いします。 平成15年6月27日、閣議決定された経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003に基づく三位一体の改革が、本市の財政健全化計画のスキームにどのような影響を及ぼしたのか、またその対応策についてどのように考えているのかお示しをください。 また、今般の三位一体の改革について、国に対し、どのような対応をされたのか。また今後、本市にとって実効ある成果を得る見込みがあるのかお示しください。 また、本年度予算編成に当たり、国補助金、交付金が減額となったそれぞれの事業を管轄されている担当部にあっては、どのような予算処理をされ、どのような事務事業の展開をされるおつもりですか。 次に、施政方針に基づき、具体的施策についてお伺いいたします。 まず、防災対策についてであります。 安全で安心な暮らしを守ることは、行政が担わなければならない事務事業のうち、最重点を置くものであります。阪神・淡路大震災、北海道十勝沖大地震の発生などによる悲惨な災害被害を目の当たりにして以来、大震災や自然災害に対する感覚は非常に鋭くなっております。それに伴い、各地域における地震の発生確率予想がたびたび報道され、対象地域の自治体では、その対策のために知恵を絞っておられます。 中部・近畿圏に多大な影響がある東南海・南海大地震の発生確率が高まっていることを受け、昨年には特別措置法が施行されたところであります。 本市においても災害に備え、飲料水や簡易食料などを備蓄し始め、議会においては特別委員会を設置して、大災害への備えについて議論が始まっております。しかし、今までの議論から、いまだに万全の体制を整えたというにはほど遠い現状だと思われます。 平成16年度から総合防災対策室が新設されることになったことは喜ばしいことでありますが、これは縦割り行政の弊害をなくし、行政組織全体が横断的に防災に対処できるよう図らなければならないとの議論を踏まえたもので、まだ具体的にどのような役割を担う組織になるのか、横断的な行政対応をどのようにして実現するのか見えているわけではありません。 一方、新消防庁舎は、徐々に姿をあらわし始め、迅速で機動的な活動が期待されているところであります。もとより消防局は防災、救援活動の専門家であり、実際の災害現場における活動のノウハウを相当積んでいることだと認識しております。 したがって、防災などの危機管理について、消防局が中心的役割を担うことになるのだと思われるところですが、総合防災室と消防局との業務分担、命令系統など、いざという時混乱することのないように、今からすっきりした形に整えておかなければならないというのは言うまでもないことであります。 そこで、以上の観点から、本市行政として現時点で整理されている防災体制について御説明をください。 次に、中心市街地活性化に関連してお伺いいたします。 施政方針には中心市街地活性化のため、基本計画の見直しを行うとともに、TMO、株式会社ぶらくりの体制強化を支援するとあります。市行政では産業部が中心になって地元ぶらくり丁の方々と議論を深められていること、プロジェクトチームが丸正の活用について、あるいは町おこしを検討するためのワークショップの議論を通じて、郷愁として抱くかつてのぶらくり丁がにぎわいを繁栄した姿を再現しようと頑張っていることは、耳にしているところで、その努力は大きなものを感じるところであります。 丸正問題を初め中心商店街の再興については、莫大な予算投下をしてきた行政のみならず、議会でも大いに問題意識が働いているところで、かつての大学設立問題についての議論もこのことと深く関連するところでありました。また、経済界においてもさまざまなアイデアが検討され、議論がされてきたと聞き及ぶところでありますが、今に至って結論が得られておりません。 このような状況の中、ぶらくり丁のランドマーク的存在であった丸正百貨店を買収し、新たに集客施設として開発しようとエヌケイ興産が名乗りを上げられました。このことは新聞各紙、テレビ、ラジオで大々的に報道されたところで、市民の方々からも問い合わせが寄せられるなど、注目しているところであります。 先日も丸正問題について、エヌケイ興産と市長並びに行政高レベルの会談がなされたことが報道されていました。しかし、残念ながらこの問題について市がどのように関与し、その会談でどのような話し合いをしたのか、議会の方には届いておりません。 そこで、お伺いをいたします。いわゆる丸正問題について、本市がどのような立場にあるのか、またエヌケイ興産との今までの話し合いの経過を含め、現在どのような話がされ、今後どのような進捗の見込みがあるのか御説明ください。 最後に、福祉の問題についてお伺いします。 施政方針にはかなりのページを割いて説明されておりますが、施策そのものは国と連携が深いので、本市独自の事業展開はなかなか難しいものがあるように思われます。しかし、少なくとも本市の考え方なり、力点を入れて取り組もうとする方向性などが見えないと、単に文字面を並べただけになってしまいます。 施政方針には、「地域福祉の推進につきましては、地域社会の中ですべての人が互いに支え合いながら自立した生活を送れるよう、幅広い地域住民の参加による思いやりと支え合いのまちづくりを推進していくために、新年度はこれまでの調査検討結果を踏まえ、地域の課題を取りまとめた地域福祉計画を策定いたします」との記述がありますが、これを読んで和歌山市行政が、一体、何をどうしようとしているのかわかる人がいるのだろうかというのが実感であります。 そこで、この福祉を管轄する部長にお伺いいたします。 地域福祉とは何ですか、地域社会とはどこを指すのですか、すべての人が互いに支え合いながら自立した生活を送るために具体的に何が必要なんですか、幅広い地域住民の参加による思いやりと支え合いのまちづくりとは、どのようなイメージのまちづくりなんですか。そして、この記述をされた地域福祉を具体化するために調査検討され、地域福祉計画を策定するとのことですが、本市行政はその計画にのっとって、地域社会で地域福祉を得られるのですか、行政が担うべきものは何ですか。以上のような問いかけをしたくなるのは、余りにも空疎な言葉を意味なく並べたように感じさせられる記述であるからです。 行政がしようとしている福祉に関する事務事業はもっと重たいものであり、制度のはざまにあって、その恩恵を受けられない方の存在など、厳しい現実社会を背景にした中で、意味を持つものであるはずであります。 そこで、市長にお伺いします。 さきに述べました施政方針には福祉に関する記述が多く載せられている中で、市長がお考えになる福祉のありようを御披露ください。 以上で代表質問を終わります。(拍手) ○副議長(東内敏幸君) 大橋市長。 〔市長大橋建一君登壇〕 ◎市長(大橋建一君) 37番森田議員の質問にお答えいたします。 三位一体改革が、財政健全化計画のスキームにどのような影響を及ぼしたかとの御質問でございます。 三位一体改革による本市の平成16年度予算への影響額は、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた総額で、前年度に比べおよそ16億円の減収となったことに伴い、最終的におよそ14億円の財政調整基金を取り崩して予算編成を行った結果、財政調整基金の残額はおよそ10億 3,000万円と大きく減少しております。このため財政健全化計画の平成16年度末の財政調整基金の目標値22億 4,000万円を確保することは、非常に厳しいものとなってございます。 その対応策でございますが、地方財政の運営は、国の地方財政計画によって大きく左右される側面がございます。しかし、今後の三位一体改革の具体的な内容は極めて不透明です。三位一体改革の全体像、年度別内容、規模など動向に留意し、その対応策を種々検討してまいりたいと考えてございます。 また、当面の対応策といたしましては、滞納・収納率向上対策プロジェクトチームによる調査研究を進めるとともに、市税等徴収緊急対策本部のもと市税等の収納率の向上対策を強化し、歳入の確保に努めてまいりたいと考えております。歳出におきましても、財源の確保を図るため、事務事業評価と並行して、現在の事務事業のさらなる見直しを早期に着手する予定でございます。 いずれにいたしましても、単年度収支の均衡を図り、財政基盤を強化することにより、財政健全化計画の中期計画最終年度である平成18年度の目標を達成できるよう、強力に行政改革を実施し、財政健全化に全力で取り組んでまいる所存でございます。 さらに、今般の三位一体改革について、国に対しどのように対応をしたのかという御質問でございます。 全国市長会では、これまで都市税財源の充実確保に関する重点要望のほか、必要に応じて税源移譲を基軸とした三位一体の改革の推進等に関する重点要望や地方交付税の充実に関する要望などの要望を国に提出し、全国知事会など他の団体とも連携しながら強く働きかけをしております。また、中核市連絡会においても税源移譲を基軸とする三位一体改革の早期実現を求める共同アピールを採択し、国に要望をしております。 和歌山市におきましても、本市としての要望を全国市長会に提出しておりますし、私自身も近畿市長会や中核市連絡会に出席して、本市としての意見を申し述べているところでございます。 次に、本市にとって実効ある成果を得る見込みがあるのかという御質問でありますが、平成16年度の地方財政計画が全国の都市の予算編成に大きな影響を与えていることから、全国市長会では、去る2月23日に国に対し、1つ、国庫補助負担金の廃止に伴う一般財源化にあわせた個人住民税、地方消費税等の基幹税での税源移譲及び税源移譲にあわせた速やかな国の関与の廃止・縮減。2つ、地方交付税の持つ財源調整と財源保障の両機能の強化。3つ、平成18年度に向けた三位一体の全体像、年度別内容・規模など改革工程表の早期提示。4つ、地方一般財源の大幅な減額に伴う地域再生事業債の新設や、財政健全化債の弾力的運用を柱とする三位一体改革に関する緊急要望を行ったところでございます。 これら要望の中には、国においても既に検討を始めている項目もございますが、今後の国の動向を十分注視する中で、本市にとって実効ある成果が得られるよう、全国市長会等を通じて国に対し、積極的に働きかけてまいりたいと考えてございます。 次に、防災対策に関連して、新年度から新設される総合防災室は、どのような役割を担う組織になるのかとの御質問でございますが、近い将来、東南海・南海地震の発生が懸念され、地震防災対策の推進に関する特別措置法が施行されたことなどによりまして、市民の地震や津波についての関心が高まる中、安全で安心な暮らしを守るためには、地震や津波などによる被害を最小限に食いとめることが行政の重大な責務であるというふうに認識いたしております。 そのためには、行政組織全体が危機管理について目的意識を持って防災に対処しなければならない、そういう考えからその中心的役割を果たす部署として、このたび市長部局に総合防災室を設置することといたしました。 この総合防災室は、地域防災計画や地震防災対策推進計画などの策定はもとより、災害発生時には災害対策本部の運営を担当する重要な部署であることは申し上げるまでもございません。 私は、このたび新設する総合防災室を防災行政組織全体を統括する組織として位置づけたいと考えております。そして、この組織が防災対策を推進する上において、庁内の司令塔としての役割を果たすことで職員の危機意識が高まり、各部局の連携も密になるものと大いに期待するところでございます。この組織をうまく機能させることにより、行政組織全体が横断的に対処できる体制の充実が図れるというふうに考えております。 次に、丸正問題について,本市はどのような立場にあるのか、またエヌケイ興産との今までの話し合いの経過を含め、現在どのような話がなされ、今後どのような進捗の見通しがあるのかという御質問でございます。 本市の中心市街地活性化には、町の中に人の流れをつくり、交流が行われるような仕掛けというものをつくっていく必要があると考えております。 その中心市街地活性化の引き金となる仕掛けを町の中から始める方法と、核となる施設から始める方法がございますが、プロジェクトチームやワークショップの意見などを考慮に入れ、核となる施設から始める方法を選択し、現在、旧丸正ビルの再生について検討を重ねているところでございます。 その一つの取り組みとして、百貨店への出店意向調査を初め、地元企業等への打診や、和歌山出身の方々の御協力を得ての誘致活動を私自身も行ってきたところでございます。 御承知のように、エヌケイ興産株式会社が昨年10月、同建物の買い取り交渉に着手され、店舗誘致交渉を進める中で、同社は本年3月末までに結論を出すとのことでございますが、本市としてもでき得る限りの協力をするため、市、エヌケイ興産、県、和歌山商工会議所の4者で、旧丸正ビルの再利用についての合同会議を現在まで2回開催しております。 ここでは、エヌケイ興産が交渉を進めるに当たっての地権者やテナント誘致の問題について、それぞれの立場で協力できる方策についての意見交換を実施いたしております。 今後、本市では旧丸正ビルへの公共的交流関係施設設置について検討を深めていくとともに、商業施設以外の医療系の集積や、専門学校等の誘致について、その可能性を調査してまいります。 いずれにいたしましても、3月末に出されるエヌケイ興産の買い取り交渉の結論を見きわめてまいりたいと考えております。 最後に、市長の考える福祉のありようについてという御質問でございます。 福祉施策についての方向性が見えない、市長の考える福祉のありようはどういうことなのかという御質問でございますが、議員も御承知のとおり、バブル崩壊とその後の景気低迷、デフレ不況の長期化の中で、従来型の右肩上がりが前提の社会保障体制が、維持困難な時代を迎えているわけでございます。 いつも申し上げていることですが、国の施策に従って義務的に負担しなければならない扶助費は年々大幅に増加しております。当然にも自治体が厳しい財政状況の中で、実施できる独自の施策の範囲は、極めて限定されるわけでございます。 ところが、一方におきまして、核家族化、少子高齢化、女性の社会進出が進み、和歌山市におきましても地域社会の様相が大きく変化してまいりました。そうした中で、福祉に対するニーズが年々高まるとともに、多様化の一途をたどっております。 私は、本人には何の責任もないのに両親が離婚したり、親の暴力や遺棄によって、養護施設に入らざるを得ない子供にもっと手を差し伸べることはできないかとか、障害者が一生懸命自立のために努力をしている姿を見ると、この人たちのために行政としてもっとできることがあるのではないかと思うわけでございます。 また、高齢者を抱え、施設で面倒を見てもらわなければどうにもならない状態なのに、順番待ちを余儀なくされている方は、高齢者福祉予算が少ない、もっと老健施設や特養のような施設がいっぱいあればいいと願っておられるわけでございまして、リストラで生活手段を失った方は生活保護などの施策強化を、子供を産んでからもばりばり働きたい女性や突然の不幸などで母子家庭、父子家庭になった方は、安心して子供をゆだねられる保育所や学童保育の充実を求めておられるわけでございます。 こういう状況の中で、福祉施策を進めるわけでございますから、地域や市民個々のニーズの最大公約数を把握して、優先順位をつけて進めていかざるを得ない。つまりめり張りをつけていかなければならない、そういう政策選択を迫られているわけでございます。 地域福祉計画は、多様化するニーズと行政が行い得る施策のギャップをどうして埋めていくかについて、地域住民自身が分担し、果たせる役割はないか、あるとすればどういうものか、地域住民が参加する福祉施策に自治体としてどうサポートすべきなのかといったことを検討し、実行可能なプランを策定するとともに、ニーズの最大公約数を的確に把握し、施策に優先順位をつけていくために、ぜひとも必要な計画であると考えているところでございます。 以上でございます。 ○副議長(東内敏幸君) 中岡福祉保健部長。 〔福祉保健部長中岡安美君登壇〕 ◎福祉保健部長(中岡安美君) 37番森田議員の御質問にお答えします。 本年度予算編成に当たり、国庫補助金・交付金が減額になったそれぞれの事業について、担当部はどう処理されたかとの御質問でございますが、国の補助金等の削減により、福祉保健部関係では公立保育所運営費、介護認定事務経費、軽費老人ホーム運営補助金、児童手当及び児童扶養手当事務経費等に係る国費が一般財源化されることとなってございます。 しかしながら、これらの事業につきましては、福祉行政の根幹をなす重要な事業と認識してございます。財政の大変厳しい中でありますが、市民サービスを低下させることなく、引き続き事業を実施してまいります。また、国に対しましてもあらゆる機会をとらえ、財源の拡充を要望してまいります。 次に、地域福祉計画を策定することで、すべての住民が互いに支え合いながら自立した生活を送ることを目指すとありますが、具体的に本市行政はどんな福祉を行っていくのかとの御質問でございました。 全国的に少子化、高齢化、核家族化が進むにつれて、かつてあった伝統的な家庭や地域での相互扶助の精神が弱まりつつあり、地域住民相互のつながりが薄れるなど、地域社会は変容しつつあります。 また、これに伴って青少年の犯罪、自殺、虐待、引きこもりなどが新たな社会問題となってきている状況の中にあって、社会福祉法第 107条において、市町村地域福祉計画の策定について規定されました。この計画は住みなれた地域で、だれもが安心して暮らせる地域社会の実現を目指し、地域住民がお互いを思いやり、助け合う意識を形成するなど地域住民の意識の共有化を図り、新たなコミュニティー形成の契機としたいと考えております。 地域の福祉を推進していく上で主体となる地域住民、自治会、民生委員、児童委員、ボランティア団体等などの地域住民の方々が、ひとり暮らしの高齢者や子供の見守りなど地域に密着した活動ができるような体制づくりが大切であると考えてございます。 本市といたしましても以上のことを実現するためにも、可能な限り地域住民等の御意見をお聞きしながら地域福祉計画の策定を進め、より福祉の増進に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(東内敏幸君) 山口教育長。 〔教育長山口喜一郎君登壇〕 ◎教育長(山口喜一郎君) 37番森田議員の御質問にお答えいたします。 三位一体の改革にかかわる御質問でございますが、今回の三位一体改革により教育関係の大きな項目では、義務教育費国庫負担制度の改革の中で、教職員の退職手当と児童手当の一般財源化が予定されていると聞きます。これにつきましては、県で支出しているものでありますので、現時点では直ちに本市に影響するものではございません。しかしながら、県の財政が悪化すれば、本市の教育関係の事業も少なからず影響を受けるものと推察されます。 義務教育費の一般財源化は、教育の機会均等、その水準の確保に多大な影響を及ぼすことが予想されます。教育委員会といたしましても、義務教育費の国庫負担制度を堅持するよう、全国都市教育長協議会等上部団体を通じまして、関係機関に要望しているところであり、本改革の推移を的確に把握しながら危機感を持って、あくまで本市における義務教育の質の低下を招くことのないよう、今後とも努力してまいる所存でございます。 以上でございます。 ○副議長(東内敏幸君) しばらく休憩します。          午後2時12分休憩   -------------          午後2時46分再開 ○副議長(東内敏幸君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 日程第2の議事を継続し、質問を許します。 大艸主馬君。--30番。 〔30番大艸主馬君登壇〕(拍手) ◆30番(大艸主馬君) こんにちは。 だんだん気候がよくなってまいりました。東大寺の二月堂のお水取りもいよいよ始まりまして、お水取りの期間というのは非常に寒い、気候が大変厳しい日が続くわけでありますが、地方財政も非常に厳しいということで、先ほどから他会派の議員の皆さんも三位一体の問題を取り上げておられました。三位一体というよりも苦み一体の改革かと思います。地方自治体は国政とのかかわりも非常に大きいわけで、今回そういう点で、国政とのかかわりを中心に質問をしていきたいと思います。 それでは、議長のお許しをいただきました。日本共産党市会議員団を代表して、市長並びに教育長に質問をいたします。 まず最初に、政府は本年2月3日、イラクへの自衛隊派兵承認を強行し、米英占領下のイラクヘ自衛隊を派兵いたしました。これは日本が戦後初めて戦争状態にある他国に、武装した自衛隊を派兵するという日本の歴史を大きく変える道に踏み出したことです。 多くの国々、また各国国民の反戦平和の声の中、国連での査察の進む中で、大量破壊兵器の存在を大義名分に、米英はイラクへの先制攻撃を開始し、圧倒的な軍事力によりイラクを制圧しました。この戦争で殺されたイラク国民は1万人を超えていると言われております。また、米英初め派遣国にも多くの死傷者を連日出しています。 政府が自衛隊派兵の根拠としてきたのは、国連安保理5月22日決議1483号及び10月16日決議1511号であります。この2つの決議は、国連が人道支援・復興を進めるために不可欠の役割を果たすべきであることを決めたもので、占領軍への軍事支援を認めたものでないことは明らかです。 占領維持に固執した米国の提案でありながら、イラク国民への権力移譲を早め、国連安保理の役割を果たす足がかりとしてこの決議に賛成したフランス、ドイツなどは、派兵追加援助を行う条件でないことをはっきり表明しており、日本政府の国際貢献の「国際」とは、まさに「アメリカ」と読みかえることができるのではないかと思います。 その後、大量破壊兵器はもともとなかったという米国調査団長のデビット・ケイ氏の発表が国際社会に衝撃を与え、とうとうブッシュ大統領も大量破壊兵器保有は事実でなかったと認めました。この戦争、それに続く占領は、いわばうそで始まったということです。大義などない、国連憲章を踏みにじった侵略戦争でした。その戦争が占領という形で続いているイラクに自衛隊を派兵することは、侵略戦争への加担です。しかも人道支援などではなく占領軍の指揮下に置かれ、占領支配の一翼を担う活動であり、明白な憲法違反です。 イラク現地で人道支援を続ける多くのNGO職員は、自衛隊派兵によって人道支援が困難になると告発しています。日本ペンクラブを初め多くの国民が、自衛隊のイラクからの撤退を求めています。また、 5,300人の署名を集め、宮崎県の高校生が東京まで出てきて、小泉首相に請願した活動などに国民は大きく励まされています。 そこで、市長に2点お尋ねいたします。 まず市長は、イラク戦争及び米英占領下のイラクへの自衛隊派兵について、どのように考えておられますか。 市長は、平成14年9月臨時議会において姫田議員の質問に対して、「憲法第9条に定められました戦争の放棄につきましては、憲法の基本理念の一つであります平和主義の観点から、国際平和を誠実に希求し、痛ましい過去の戦争に対する日本国民の反省と、反戦の思いをあらわした重要な条文」との認識を示されています。 2点目として、多くの犠牲の上に確立された戦争放棄の憲法第9条を踏みにじる行為と考えますが、どうでしょうか。 戦争しない国から戦争する国へ突き進もうとする小泉内閣は、また地方自治体への構造改革、地方交付税、国庫補助負担金の削減、税源移譲のいわゆる三位一体の改革の具体化で、新年度予算編成でも大きな影響が出ています。この問題については、同僚議員とダブる点でありますが、お許しを願いたいと思います。 福島県の佐藤知事、新潟県の平山知事から強い怒りと批判が、また四国知事会の4県の知事から、今日のように地方交付税の削減のみが突出して行われることは、地方公共団体の財政運営に致命的打撃を与えるとし、極めて遺憾としています。 財源不足を住民負担にする自治体も出ており、先ほども述べましたように三位一体改革、本当に「苦み一体」と読んでもよろしいかと思いますが、地方財政は悲鳴を上げざるを得ない状態が生まれています。 そこで、以下お尋ねいたします。 1、本市財政への影響はどうなるのか。 2、財源移譲の具体的方向。 3、市長会等を通じての要望事項に対しての国の対応をお尋ねいたします。 こうしたもとで4つ目として、市長の市財政運営の基本的な考え方をお伺いいたします。 5つ目として、市の歳入について、現在の路線価方式の固定資産税に大企業施設への適正な課税として、港湾などの水際加算を取り入れるべきだと思いますが、いかがでしょうか。 一方、歳出面で生活関連、教育、福祉の削減でなく、法期限後まだ続いている同和減免など、不公正の是正を図るべきです。また、市長を初めとする特別職の退職金の大幅削減などを実行すべきだと思いますが、どうでしょうか。 6、新年度には入院給食費助成制度の後退が提案されております。市長は、こうした市単独の福祉施策について、どうお考えでしょうか。国の制度が不十分なため、自治体独自で上乗せ措置を行うことが、極めて値打ちのあることであります。自治体が国の基準以上の仕事をしない、独自の仕事をしないというのは、自治体の存在意義をみずから否定するものと言わなければなりません。 さて先ほどからも、先輩同僚議員からの質問に対して、市長は答弁で財政的に独自性を発揮できないと述べられておりますが、今、国への地方自治体としての強い要望と、そして批判なくしては、地方分権、地方自治体の存在そのものが成り立たないのではないでしょうか。市長のお考えをお聞かせください。 さて1989年、平成元年に福祉に使うという名目で消費税が導入されました。昨年、2003年まで15年間で消費税の増収分は国・地方合わせて約 136兆円。一方、法人税等の減収が、この15年間で 131兆円に及んでおります。つまり消費税分がほぼ法人税の減税に充当されている、こういうことが判明しております。 所得の多い人ほど多い税金、少ない人は少ない税金、これが本来の税制の原則であります。ところが、消費税は毎日の生活費にかかってくる税金のために、所得の低い人ほどその負担率は高くなる、いわゆる逆累進性を持った不公平税制であります。 政府と財界は、さらに法人税を減税し、消費税を基幹税とするよう、増税とあわせて明言をしているわけです。 そこで、市長にお尋ねをいたします。今後予想される消費税の増税、それと抱き合わせの法人税減税について、国民、市民生活を守るという観点から、どのように思われているのかお尋ねをいたします。 次に、政府が進める年金「改革」は、保険料の引き上げ、給付水準の引き下げで、ますます将来の不安を助長するものとなっています。 和歌山市の国民年金の検認率は、平成14年度において20歳代が 41.46%、30歳代が44.47%、40歳代が 60.20%、50歳代 72.08%となっております。今年度においては、よりこの検認率の低下が予想されているところでありますが、20歳代では正規雇用でない青年が多い非常に深刻な状況の中で月1万3,300円、年間で15万 9,600円の年金保険料。これを支払ってない人が、実に60%にものぼっております。 フリーターで、大体月12万円の人にとればね、15万 9,600円というのは総収入の1割以上なんですね。これは保険料が高くて払えない。それから、シビアに見ている人は、40年払っても今の政治状態が続けば、65歳で年金支給される保障がないと。だから、払っても払わなくても65歳で年金がもらえないと。そういう現在の政治への不信感のあらわれが、この検認率の低下に見られていると思います。 また現在、国民年金 900万人の受給者の平均額は月4万 6,000円と、生活保護基準の半分以下であります。和歌山市の国民年金の受給者は、恐らく全国平均よりも低いと思われます。 今回の政府案は、保険料を引き上げ、2017年まで厚生年金と国民年金で合わせて大体4兆円規模の負担増となるものです。給付水準は約15%程度の実質引き下げ。現在受給中の人も一律に引き下げるものとなっています。これでは保険料が払えない人がますますふえ、空洞化はさらに深刻になります。 また、給付水準では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という憲法第25条が保障する生存権を脅かすものになります。この生存権保障の理念を生かす改革こそ必要であると考えます。 市長は、市民の暮らしを守るという立場から、年金問題についてどういう見解をお持ちなのかお尋ねをいたします。 次に、昨年の地方自治法改正により、公の施設の管理に指定管理者制度が導入されました。これまで公の施設の管理は、自治体の出資法人か公共団体、また公共的団体に限って委託できるとしていたものを指定管理者が代行できることとし、管理主体を民間営利企業にまで拡大した改定です。このことで新年度、市営駐車場に指定管理者制度が導入されました。 また、地方独立行政法人法がことし、この4月1日に施行されます。この法律は、地方自治体がみずから直接住民に提供している公的サービス部門の事務事業を分離し、新たに設立する法人にその運営を移譲することを可能とするものです。 公の施設は、市民の税金で建てた施設であり、住民の利益のために管理、運営されるべきものですが、これが営利目的の企業にゆだねられることになる。住民の命を守ってきた施策や住民の生活に密着した公的サービスが、独立行政法人化されることで効率化最優先が押しつけられ、不採算部門が切り捨てられていくことになります。これは、地方への財政保障を削り込む一方で、自治体リストラを進め、国民犠牲を押しつける国の姿勢によるものです。 しかし、いずれも自治体に選択肢が与えられています。民間企業への管理代行や、水道・福祉事業などを独立行政法人化するのか、あるいは公的責任を守り住民利益の立場に立つのか、各自治体の姿勢が問われています。市長としてこの問題にどういう姿勢で臨まれるのか、公の施設、公的サービス部門への公的責任をどう考えるのかお答えください。 さて、地域経済、中小企業も弱肉強食、優勝劣敗の小泉構造改革によって大きな打撃をこうむっています。我が党議員団がかねてから要求していた職員による産業の悉皆調査、ことごとくすべてを調査するという悉皆調査と中小企業振興条例について、改めて市長の認識とあわせて新年度での取り組みをお伺いします。 内閣府は2月18日、2003年10月から12月期の国内総生産--GDPが前期7月から9月期と比べて名目で 0.7%、物価変動の影響を除いた実質 1.7%増、年率7%のプラス成長と発表しました。国民の生活実感とはほど遠い発表であります。GDPの約6割を占める個人消費は 0.4%増、雇用者報酬、つまり労働者の賃金は3年連続マイナスで、今回 0.7%が伸びたと言われておりますが、前期落ち込みを若干戻したにすぎないと言われております。 大企業は、リストラによって労働者を削減し、正規労働者を減らして不安定雇用者を増大させました。また、分社化などにより大きな収益を上げております。社会的ルールを壊して利潤第一主義をさらに進め、国民の暮らし全体に大きな打撃を与えております。特に青年の雇用対策を国や大企業に強く迫っていくことが今必要であると考えますが、いかがでしょうか。また、大企業の社会的責任を問うことが必要になってきております。市長の御見解をお伺いいたします。 次に、スポーツ施設に関して質問をいたします。 午前中もスポーツ施設の問題が論議されましたが、和歌山市はスポーツ大会開催のための公式グラウンド等がほとんどない状態です。今回、総合スポーツ施設のあった旧住友金属グラウンドが廃止され、商業施設になる予定であります。 そこで、スポーツ施設充実のための、要は長期の方針と、それから多くの市民が利用していたこの旧住金グラウンドの施設にかわるものを何か考えておられのか、お尋ねをいたします。 最後に、市長の政策の柱の一つである教育問題についてお伺いをいたします。 新年度教育のパワーアップを掲げ、学校施設の耐震診断を含めても、平成16年度の予算では一般会計の10%を切るという、非常に貧弱な教育予算であります。校舎の建てかえ、大規模改修などで10%以上の年度もありますが、校舎の建てかえ、大規模改修は、当然計画性を持って進めるべきものであります。 ちょっと議長のお許しを得て、配っていただいて--。市長に校舎とか、あるいは雨漏り、トイレ、いろんな分野がありますが。 現在の教育予算が10%を切って、大規模改修以外に応急措置を早急にとらなければならない雨漏りやトイレ、その他の改修が追いつかないわけです。だから、毎年せめて一般会計予算の10%以上の教育予算を要求したいと思いますが、いかがでしょうか。 子供たちに本来の基礎学力を教え、学校を楽しいものにするそういう先生方や地域の努力にもかかわらず、先生も生徒も忙しく、不登校児童数がふえているそういう現状からも、少人数学級実現のためにも、教職員を初めとする人員増を望むものであります。当然、県に対しても強く要求べきものでありますが、市長並びに教育長の見解をお聞きいたしまして、日本共産党を代表しての質問を終わります。(拍手) ○副議長(東内敏幸君) 大橋市長。 〔市長大橋建一君登壇〕 ◎市長(大橋建一君) 30番大艸議員の質問にお答えいたします。 イラク戦争及び米英占領下のイラクへの自衛隊派兵について、どのように考えているかという御質問でございました。 イラク戦争に大義があったかどうかについては、私もいろいろ考えるところがございますが、イラクの国民が、現在、フセイン政権の長年の圧制と今回の戦争によって二重三重に疲弊し、国際社会に助けを求めているわけでございます。現在、国連におきましても加盟国に対し、イラク復興支援の努力を要請しておりまして、国際社会が協調して復興のための支援を行うことは必要であると思います。 確かにイラク情勢は現在においても安定しているわけではなく、派遣された自衛官の方々は、生命の危険にさらされる事態もある程度覚悟の上で、イラク復興の人道支援という任務に精励されているわけでございますので、そのことに対し、私は深い敬意を表明し、どうか無事任務を終えて帰還してほしいと願っているところでございます。 自衛隊派遣が憲法第9条の精神を踏みにじる行為であると思わないかという御質問でございますが、私は平和を守り、二度と戦争をしないという憲法の誓いを大事にしたいと常々申し上げております。 日本国憲法第9条は「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とうたっておりますが、今回の自衛隊派遣は戦争目的ではなく、さきにも申し上げましたように、国際社会が協調して行うイラク復興のための人道支援を目的とするものであるというふうに認識いたしております。 小泉構造改革について、地方自治のあり方ということで、三位一体改革、いわゆるというようにおっしゃいましたが、三位一体改革について幾つか御質問がございました。 まず、本市財政への影響ということでございますが、昨年6月に閣議決定しました経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003に基づきまして、昨年12月下旬に示されました地方財政計画の内容は、税収が伸び悩む地方自治体の財政に大変大きな影響を与えており、各自治体の平成16年度の予算編成においては、過大な財源不足を招くなど、極めて深刻な状況となっております。 本市におきましても、臨時財政対策債と地方交付税を合わせた総額でおよそ16億円の減収となり、また国から示された時期が遅く、内容も不明な部分も多いことから、予算編成に支障を来し、最終的に財政調整基金をおよそ14億円取り崩さざるを得ない予算編成となったものでございます。 次に、税源移譲への具体的方向でありますが、三位一体改革の中では、平成18年度までに所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実現することになっております。その前提として、およそ4兆円の国庫補助負担金の廃止・縮減、及び地方交付税の見直しが掲げられておりまして、平成16年度税制改正においては、およそ1兆円の国庫補助負担金の削減に対する暫定措置として所得譲与税が創設され、所得税の一部が税源譲与されました。しかし、本格的な税源移譲の具体的内容は先送りされたため、現時点では不透明なままとなってございます。 全国市長会等を通じた要望事項に対する国の対応でございますが、全国市長会では三位一体改革の柱である税源移譲については、所得税から個人住民税、消費税から地方消費税という基幹税による移譲を繰り返し要望してきたところでございます。 国は当初たばこ税を税源移譲する案を出しておりましたが、全国市長会等の強い働きかけによりまして、最終的には暫定措置でありますが、基幹税である所得税の一部を所得譲与税として地方に移譲する方針を決定いたしております。 また、国庫補助負担金の廃止・縮減につきましても、国の歳出削減を目的とした単なる補助率の引き下げや補助対象の縮減など、地方への負担転嫁はあってはならないことを強く要望しておりまして、その結果、平成16年度は生活保護費負担金及び児童扶養手当給付費負担金については、現行の負担割合を維持することとされたところでございます。しかし、総体的には各都市が納得できるような対応となっていないのが実情であると思っております。 次に、市の財政運営の基本的な考え方でありますが、三位一体改革に基づく平成16年度地方財政計画は、地方にとって徹底した歳出の削減や財政の効率化が求められる内容となっております。 本市では、危機的な財政状況から脱却するために、財政健全化計画に基づき、財政の健全化に努力してまいりましたが、本市財政を取り巻く環境は、一段と厳しくなったものと考えております。 したがいまして、これからは従来の右肩上がりの事業発想による政策など、これまでのまちづくりに対する発想を転換するとともに、厳しい財政状況の制約のもとであっても、市民生活の質の向上を図っていくことができる効率的、効果的な財政運営が求められていると考えております。 このため、今後の予算編成に当たりましては、こうした視点から事務事業の取捨選択を行い、必要な事業には重点的、効率的に財源配分を行ってまいる所存でありまして、その意味から平成16年度当初予算編成で初めて取り組んだ財源配分型予算編成方式は、その第一歩であると思っております。 次に、現在の路線価方式の固定資産税に大企業施設への適正な課税として、港湾など水際加算を取り入れるべきではないかという御質問でございます。 固定資産税に大規模施設において、港湾などの水際加算をということでございますけれども、固定資産税における宅地の評価につきましては、標準宅地の鑑定評価を活用することとされております。この鑑定評価には、価格を構成するすべての要因が反映されております。したがって、議員御質問の水際加算につきましても、評価に含まれているものと認識してございますので、御理解いただきたいと思います。 法期限後、まだ続いている同和減免など、不公平の是正を図るべきだと思うがどうかということでございます。 経済的にも厳しい状況が考えられることなどから、激変緩和措置として同和減免の個人給付について、平成14年度から平成16年度まで3カ年継続実施してきたものでございます。原則廃止と考えてございますが、平成17年度以降につきましては、今後の景気動向や経済情勢を考慮しながら総合的に判断し、検討してまいりたいと考えております。 特別職の退職金の大幅削減を実施してはどうかということでございました。 特別職の退職手当につきましては、本市の厳しい財政状況を踏まえ、財政健全化の一方策として、去る12月定例会において支給率を見直し、減額する条例の改正を議決いただき、本年1月1日から施行している状況でございます。しかしながら、引き続く厳しい財政状況を思慮する中で、削減につきましては、今後も検討していかなければならないものと認識しております。 入院時食事療養費制度の後退が提案されているが、こういう市の単独の福祉施策についての考え方はどうかということでございます。 入院時食事療養費助成制度につきましては、平成6年10月の健康保険法等の改正により、食事の一部が自己負担となりましたが、本市といたしましては、市の単独制度として今日まで助成を継続してまいりました。 しかしながら、財政状況が厳しい折、全庁を挙げて財政健全化計画に取り組んでおります。平成16年度の当初予算編成に当たり、事業全体を見直す中で、介護保険による入所者との間で食事にかかる費用負担に不平等が生じていること、さらに国保会計において国から受けているペナルティを改善する必要があるということもありまして、本制度につきましても一部見直しを行い、高齢者の方々にも応分の負担をしていただくこととしたものでございますので、御理解をいただきたいと思います。 国への強い要望がなくして、地方自治はあり得ないと思うがどうかという御質問でございます。 平成16年度は先ほどから申し上げておりますように、三位一体改革の初年度であり、真の地方自治の確立を図るための重要な出発点となる年であると言われております。 しかし、平成16年度の地方財政計画の内容は、地方分権が目指す税源移譲と権限移譲が一体的に実現されていないなど、総体的には地方の自由度を拡大すべき三位一体改革の理念に照らしてみれば、今後に多くの課題を残したものであると思っております。このため、全国市長会では去る2月23日に、国に対し、三位一体改革に関する緊急要望を行ったところでございます。 私自身これまでも近畿市長会や中核市連絡会の場で意見を述べてまいりましたが、今後も全国市長会等にできる限り出席して、真の地方分権を推進するために必要な意見を申し述べることにより、国に対し強く働きかけを進めてまいります。 消費税の増税と法人税の減税について、国民生活を守るという観点からどう思っているかという御質問でございます。 政府・与党の平成16年度税制改正大綱の中で、平成19年度を目途に、年金、医療、介護等の社会保障給付全般に要するに費用の見通し等を踏まえつつ、あらゆる世代が広く公平に負担を分かち合う観点から、消費税を含む抜本的税制改革を実現するとの方針が出されております。このことにつきましては、本格的な高齢社会を迎え、社会保障給付が今後も増大していくことが確実に予想され、この財源をどのようにして確保していくかが国民的課題であるとの認識をしてございます。 この財源確保については、さまざまな議論がありますが、私といたしましては、議論の前提として国・地方ともに行財政改革を抜本的に、またより強力に実施することにより財源の確保が図れるように、さらに努力することが必要であり、前提であると考えてございます。 次に、法人税の減税についてでございますが、平成15年度の税制改正において、試験研究費等における特別控除制度として研究開発減税、IT投資促進を図るための設備投資減税、また中小企業支援対策に係る減税が措置され、この減税の効果が関連企業の業績回復にあらわれつつあります。しかしながら、いまだ中小企業においては、景気回復までには至っていないとの認識を持ってございます。今後も中小企業及びベンチャー企業支援の減税措置は、引き続き必要であると考えてございます。 いずれにいたしましても、消費税及び法人税につきましては、国の施策でもございますので、今後の国の動向を注視してまいりたいと考えてございます。 国民年金問題についての見解はということでございます。 国民年金は、老後の生活や病気やけがで障害などになったとき、生活を支えるための大切な制度であると思っております。平成14年度の国民年金は、厳しい経済情勢のもとでの高い離職率や収入の減少、定職を持たず、アルバイトだけで生計を立てるいわゆるフリーター等が増加したことによる保険料負担能力の低下等により、収納率が低下したというふうに分析されております。 国におきましては、このような状況にかんがみ、国民年金特別対策本部が設置され、保険料免除制度の見直し、納付しやすい環境づくり、地域に根差した収納活動の強化の実施を課題に挙げ、広く国民に理解を得られるよう各種の取り組みがなされております。また、本年4月からすべてのコンビニでの納付が可能となるようでございます。 納付困難な方の申請免除につきましても多段階免除制度や納付猶予制度、3号被保険者の届け出漏れを救済する措置が考えられております。和歌山市といたしましても制度維持、収納率アップのため納付や口座振替勧奨等について広報等を行っております。 私は、少子高齢化を迎え、国民年金の将来を考えますと、現在の保険料収納率の低下の問題について非常に心配をしております。今後、この問題とともに国民年金制度そのものに対する国民の不信感や現役世代の不公平感等をなくすための対策が必要であり、全国都市国民年金協議会等を通じ、強く国へ要望してまいります。 次に、指定管理者制度の導入について、どのような姿勢で臨むのかということでございます。 前議会でもお答えしたかと思いますが、平成15年9月2日の地方自治法の改正に伴い、公の施設管理につきましては、法施行後3年以内に管理方法を選択することになっております。 本市の出資法人等に委託しております施設の管理につきましても、この指定管理者制度の導入により、広く民間事業者まで管理主体を広げることが可能となりました。このことにより、住民サービスの向上や行政コストの削減が実現できるほか、地域の振興及び活性化並びに行政改革の推進につながるものと考えております。 指定管理者制度の導入に当たりましては、個々の施設の特性などを考慮するとともに、自治体としての責務も重視しながら、法の趣旨に沿って検討してまいりたいと考えております。 地域産業と雇用問題に関連して、産業の悉皆調査と産業振興条例についての御質問でございます。 悉皆調査につきましては、本市における中小企業へ職員がじかに訪問をして調査することは、各企業の実態についてそれぞれに生の声等をお聞かせいただくこととなり、実態把握を行う上で意義深いものであると考えます。よって、今後も景気動向調査や各方面の皆様方からの御意見をお聞きしながら状況把握に努めてまいりたいと考えています。 また、本市経済の活性化を図るため、現在、中小企業を対象とした各種振興施策を実施しているところでございますが、現行諸施策につきましても創意工夫を加えながら充実を図るとともに、今後、製造業実態調査を初めとし、各種企業組合を窓口といたしまして、職員によるアンケート調査を実施し、企業の現状を的確に把握するとともにニーズをつかみ、今後の振興施策に反映するための調査研究を進めてまいりたいと考えております。 青年の雇用対策を国や大企業に強く迫っていくことが必要ではないかという御質問でございます。 若年者の雇用環境につきましては、議員御指摘のとおり、正規社員の雇用は減少し、その分契約社員や派遣社員などの不安定雇用が多くなっている現状でございます。国におきましても、若者の雇用対策につきましては、職業訓練制度の充実や雇用奨励金、補助金制度など多方面での取り組みがされているところでございますが、最近の経済統計等で言われています景気回復が、若年者雇用問題のターニングポイントになることを願ってやみません。 若者に希望を与え、地域経済の活性化のためにも、今後とも青年の雇用につきましては、国、県、関係機関等と連携を強化しながら積極的に取り組んでまいります。 大企業の社会的責任を問うことが必要ではないかということの御質問でございます。 景気の持ち直しを受けて、雇用情勢は改善の兆しが見られるものの、地方経済や中小企業においては、依然として厳しい状況が続いていると認識しておりまして、経営改革の一環としてリストラや分社化などを行うケースは多いところでございますが、そうした場合、地域経済やそこに働く労働者に及ぼす影響が多大でございます。 大企業は、地域との共生があってこそ企業の繁栄があるということを今以上に認識していただき、雇用対策や関連企業への影響を十分配慮していただけるよう、行政側からも企業に対して要請を行っていかなければならないというふうに考えてございます。 最後に、教育パワーアップを掲げているのに、教育予算が10%を切っている。せめて10%以上は確保するように努めるべきではないかという御指摘でございました。 教育のパワーアップを重要な施策として進めておりますが、平成16年度の当初予算での一般会計に占める教育費の割合は、御指摘のとおり 8.5%という低い水準にとどまっております。教育費につきましては、平成15年度に比べて13億 5,000万円余り減額いたしておりますが、その大きな理由は、教育費に占める建設事業費が前年に比べ11億 3,000万円余り減額しているためでございます。平成16年度は、教育のパワーアップを図るために小中連携子どもサポートプランやカウンセリングルームの設置など新たに進めることとしております。 今後は、投資的な建設事業を計画的に実施するとともに、既存事業の見直しを進めるなど効率よく事業が実施できるように教育委員会と協議して、教育パワーアップに努めてまいりたいと考えてございます。 以上でございます。 ○副議長(東内敏幸君) 山口教育長。 〔教育長山口喜一郎君登壇〕 ◎教育長(山口喜一郎君) 30番大艸議員の御質問にお答えいたします。 まず、スポーツ施設充実の方針と旧住金総合スポーツ施設にかわるものを何か考えているのかという御質問でございますが、スポーツは市民一人一人が生涯にわたり明るく、豊かで、健康な生活を営む上で大切でございます。そのため教育委員会といたしましては、いつでも、どこでも、だれでもが親しめるスポーツ施設づくりを目指しているところです。 本市のスポーツ施設は、県営紀三井寺公園の各施設、県立体育館、武道館等の県施設を核として市立体育館4館、市民温水プール、市民野球場、市民テニスコート、また市民スポーツ広場を初めとした河川敷の活用による施設があり、さらに学校開放事業や、あるいは民間のスポーツ施設にも御協力をいただき、スポーツ活動の場の確保に努めてまいりました。このたび旧住金総合スポーツ施設が活用できなくなりましたことは、まことに残念に思っております。 本市スポーツ施設の充実につきましては、市民やスポーツ団体からの要望も伺っているところから、教育委員会といたしましては、地域性や競技種目の性格や規模あるいは競技人口等も考慮の上、さらにスポーツ施設の整備、充実に努めねばならないと考えます。 次に、教育予算についての御質問ですが、平成16年度当初予算での一般会計に占める教育費の割合が 8.5%で、平成15年度の10.0%を下回っております。その原因につきましては幾つかございますが、日進中学校、紀伊幼稚園、中央コミュニティセンターの増改築工事の終了等による事業費や人件費で、合わせて13億 5,000万円余りの減額となっております。 教育費につきましては、次代を担う人材を育成する立場から、財政状況が極めて厳しい折ですが、学校施設の改修、学校教育の充実など重点を定めて、御指摘のようにその増額に努めてまいりたいと考えております。 最後に、教職員の増員についての御質問でございますが、教育委員会といたしましてはさまざまな教育課題の解決に向け、きめ細かい指導の体制を図るための教職員の増員が必要であると認識しております。 少人数学級編制につきましては、従来から県に強く要望してまいりました。本年度は県の施策として小学校1年生において2学級で38人学級編制、3学級以上は35人学級編制が実施されました。また、基礎学力向上のための少人数指導や、生徒指導の充実のため及び特別に配慮が必要な児童生徒のため、よりきめ細かな指導ができるよう、教員の増員を今後も強く県に要望してまいります。なお、市といたしましても本年度より小学校1年生、2年生並びに中学校3年生に対し補助教員を配置し、指導体制の充実に努めております。 以上でございます。 〔副議長退席、議長着席〕 ○議長(佐伯誠章君) 次に、中村協二君。--17番。 〔17番中村協二君登壇〕(拍手) ◆17番(中村協二君) こんにちは。 朝から延々と質問が続いてまいりまして、お疲れのことと思いますけれども、ラストバッターでございますので御辛抱いただきたいと思います。 新風クラブを代表して質問をさせていただきます。 私は、財政問題と公共交通のあり方の2点に絞って質問をさせていただきます。 まず、本市の財政でありますけれども、平成16年度予算案を見る限り、緊縮予算とはいうものの従来の延長線上の予算であり、抜本的な改善がなされたとは言いがたいと考えております。大橋市政にあって二度目の予算編成であり、この予算において行財政改革の確かな道筋がつけられたものと期待していただけに残念な気がいたします。 「入るを量って出づるを制す」と言われておりますけれども、地方財政は御承知のとおり、その財源の面で大きな変化の中にあります。三位一体の改革により地方交付税や補助金が減らされてきております。そのかわりの財源としての税源移譲が進んでいないのが現状でございます。 これらの議論につきましては、朝から何人もの方が質問をされました。予算編成において、その見積もりに苦慮されたことと思いますけれども、三位一体改革の本市財政への影響についてどうなっているのかということをまずお伺いしたいと思います。 また、本市の一般会計において、その歳入の44%を占める市税収入についてでありますけれども、これは本市の経済状況と大きく連動すると考えますが、来年度の本市の景気見通しについてどう把握されているのでしょうか。 予算編成において財源が足りなければ歳出が組めません。その財源の大もとを占める地方交付税にしろ、市税収入にしろ見積もりの立てにくい、計算のしにくい財源であります。景気が予想より上向けば税収も地方交付税も増収となり、すべてがうまくいくことになりますが、景気が低迷すれば財源不足が生じ、赤字となるわけであります。そんなことにならないためにも、歳出を思い切り切り詰めておかなければ心配でなりません。 今申し上げた諸点について、どういう決意で、どういう点に留意されて予算査定を行ったのか、御苦労のほどを述べていただきたいと思います。 私の見るところ、本市の財政は一般会計はまあまあつじつまがあっているように思いますが、特別会計が大変です。つつじが丘事業で50億円、下水道事業で73億円、その他特別会計で61億円、総額 184億円の赤字が生じており、まだまだふえ続けています。しかもそれは、一般会計から毎年 180億円をそれぞれの特別会計に繰り出した上でのことであります。 私は、この特別会計の赤字体質、最後には一般会計に何とか穴埋めをしてもらおうという体質を変えなければ、財政改革はできないと思います。特別会計は、そもそも独立採算が原則だからであります。来年度予算において、残念ながら赤字を解消し、独立採算が可能なところへの道筋がはっきりと示されたとは言えないと思います。 つつじが丘事業については、値下げによって損切りをするようで、それはそれで一つの大きな決断だと思いますが、この値下げによる価格、坪単価平均15万 2,000円と言われておりますけれども、この価格で全区画を完売したとしても 187億円の赤字になるわけであります。 昨年償還時期を迎えた14億円の起債を借りかえましたが、そうやすやすと借りかえに応じていただけるとは思えません。年々53億円、92億円と続く償還金を借りかえることができるのか、容易なことではないと考えます。 下水道事業につきましては、計画面積のほぼ半分しか整備できていない現状であり、このまま事業を進めていくとますます赤字が拡大するおそれがあります。計画変更も含めて検討する必要があるのではないかと考えております。また、現在の赤字減らしのために安易に使用料の値上げをすることなく、まずは経費の節減などの合理化に努められたいと希望いたします。 しかしそうはいっても、他市においては、このような土地とともに病院経営や公共交通の経営で悩んでいるわけでありますから、これしきのことでへこたれてはなりません。行政当局はもちろん、市民の御理解も得て、頑張らなくてはならない正念場だと思います。 このような状況にある本予算において、行財政改革予算と胸を張れるものがあるのか具体的にお示しいただくとともに、市長の今後の行財政改革に対する見通しと決意を改めてお聞かせいただきたいと思います。 次に、和歌山市の公共交通についてお伺いをいたします。 この件についても朝から何人かの同僚先輩議員の御質問にありましたけれども、貴志川線の廃止につきましては、市長以下対策協議会の努力もむなしく、啓発活動だけでは廃止される可能性が強いと思います。新聞に掲載されました南海電鉄社長のインタビューはこう言っています。「署名活動や一時的な増客運動はなんの対策にもならない。対策も具体的な助成策もなしに、南海さんやってよ、では済まないレベルの問題と認識してほしい」とのことであります。それが社長の本音でしょう。それほど厳しい状況だということであります。 私が心配するのは前回の定例会でも指摘をしたように、貴志川線の次は加太線、そして和歌山バスと、次々に和歌山市の公共交通がなくなってしまうのではないかと心配するからであります。そもそも公共交通を採算面からだけで評価していいのかどうかということをこの機会に考えなければならないというふうに考えます。 そんなことになれば市行政として何をなすべきでありましょうか。学生や通勤客や病院通いのお年寄りなどが不便をかこつのを放っておけるのでしょうか。コミュニティバスや何やかや手だてを講じなければならない事態になると思います。 今、和歌山市の財政の中で、鉄道やバスなどの公共交通に投じている予算は幾らあるんでしょうか。バス路線維持経費として約1,600万円だけであります。鉄道事業については、公費は支出されておりません。 一方、道路関係予算は建設・維持を含めて総額34億円に上ります。この多額の投資を毎年毎年行っているのであります。道路がよくなって、今まで鉄道で通勤をしていた人もドア・ツー・ドアの便利さから自動車に乗りかえていくわけであります。それでなくとも人口減少、少子高齢化により学生や通勤客が減っていくのであります。採算が合うわけがありません。 道路偏重の行政は、まさに鉄道は要らないと言っているとしても過言ではありません。それなのに鉄道が廃止されるというと存続してくれという、矛盾していませんか。ヨーロッパでは環境に優しく、大量輸送の鉄道に対して、行政は事業者とともに取り組んでいると聞いています。鉄道は多くの土地を必要とし、多額の設備投資が必要です。そして、一たん廃止してしまうと、二度と再開することは不可能です。なぜなら不便になったその土地から、住民はもっと便利な市の中心部のマンションなどに移住してしまうからであります。 貴志川線の場合、毎年5億円の赤字が出ていると言われておりますけれども、その経営実態を精査するとしても、県、市、関係町などで負担できないのでしょうか。道路予算からシフトできないでしょうか。検討しなければならない課題だと思います。 総務省では、ことしの4月から第三セクター方式の都市鉄道の経営再建に乗り出しますけれども、これは簡単に言えば経営健全化計画をつくって、最長10年間で営業損益を10%以上改善することを目指すもので、単年度の運営資金の不足分の半分を自治体が起債して補てんすることを認めるものであります。貴志川線のような地方の鉄道についても国に働きかけて、存続のための手だてを探っていくべきだと考えます。 いずれにしても、鉄道事業者だけに赤字路線の維持運営をゆだねていく時代は終わったと言えます。鉄道事業法の改正により、1年前に届け出るだけで撤退することができることになったわけであります。 市長のこの問題に対する見解を承りたいと存じます。 以上で新風クラブの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(佐伯誠章君) 大橋市長。 〔市長大橋建一君登壇〕 ◎市長(大橋建一君) ようやく最後の代表質問ということで、私も少し声が枯れてきましたが、お答えをいたしたいと思います。 17番中村議員の代表質問にお答えいたします。財政問題と貴志川線問題ということでございます。 まず、財政問題について。三位一体改革の影響、市税を取り巻く景気見通し、思い切った歳出のカットについて、どういう決意で、どういう点に留意した予算査定を行ったのかというような御質問でございました。 先ほどから各議員の御質問にお答えしておりますように、平成16年度の当初予算は、これまで以上に厳しい状況の中での予算編成となり、予算査定におきましては大変苦慮したところでございます。 我が国の経済は、民需を中心に緩やかな回復過程をたどりつつありますが、本市におきましては依然として景気が低迷している状況にあることから、市税収入の増加が見込めない状況にありまして、加えて地方税財政の三位一体改革による国庫補助金や地方交付税の削減が見込まれる一方、歳出におきましては、扶助費等の義務的経費や特別会計への繰出金の増加などにより、平成16年度予算編成においては多額の歳入不足が見込まれたところであります。 こうした厳しい財政環境のもとではありますが、私は本市財政を再建し、何としても赤字再建団体への転落を回避したいという強い決意をもって、平成16年度の当初予算編成に臨んだところでございます。 予算編成に当たりましては、初めて財源配分型予算編成方式を取り入れ、各部局の予算要求額の上限を前年度一般財源配分額の90%に設定することで、各部局の判断により事業の見直しと順位づけを行い、優先度の高い事業を選ぶなど、部局の創意工夫による効率的、効果的な事務事業の提案を求め、大幅な歳出の削減を図ったところでございます。 また、予算査定におきましては、特に行政改革実施計画と外部による行政評価に留意しまして、効率的、効果的な予算査定に努めたところでございます。 このような努力をしてまいりましたが、三位一体改革に基づく平成16年度地方財政計画は、最終的に財政調整基金をおよそ14億円も取り崩さざるを得なくなるような深刻な内容でございました。 新潟県の平山知事が、既にここ数年、自治体は行財政改革を進めており、対応できる余力が残っていない。基金の取り崩しでしのぐことも限界に来ている。こんなことが続けば、大半は赤字再建団体に転落してしまう。国は地方団体を赤字再建団体へ追い詰め、国の管理指導のもとで地方財政の健全化を図ろうとしているのではないかというふうに言われたように、私もこのままでは地方が立ち行かないのではないかと深刻に受けとめております。なお一層の行財政改革を進めていくことはもちろんでございますが、同時に国に対し、こうした地方の意見を強く主張してまいりたいと考えてございます。 新年度予算に行財政改革がどのように反映されているのか、今後の行財政改革に対する見通しと決意を改めて述べよということでございます。 本市の行財政改革といたしましては、新和歌山市行政改革大綱に基づき、歳出削減効果を継続させつつ、行政評価システムを活用することにより、行政活動を評価し、住民に対するサービスの向上と業務改善を進め、継続的な行政改革に取り組んでまいりたいと考えてございます。 御質問にありましたとおり、地方行政は大きな曲がり角にございます。三位一体改革により地方の財源不足は顕著となり、本市といたしましても既存事業の評価を行い、財源を見据えた実効の上がる事業を選択していかなければなりません。新年度予算につきましては、行政改革の重点改革項目である滞納・収納率向上対策にかかわる予算措置を行ってございますし、またリサイクルプラザ建設事業につきましては、外部評価を尊重し、費用対効果等再検討する必要があるとの判断をいたしまして、今年度の予算措置を見送ったところでございます。 次に、定員適正化の推進につきましても、重点改革項目でございまして、定員適正化計画に基づき 800人の削減を目指し、平成23年度に 3,000人体制が実現できるよう、鋭意努力しているところであります、市民サービスの低下を招かないよう事業を選択し、住んでよかったと実感できるまちづくりを行ってまいりたいと考えてございます。 現在は、大変苦しい状況でございますが、市民の御理解をいただきながら、全職員一丸となって行政改革に取り組み、「水と緑と歴史のまち 気くばり・元気わかやま市」の実現を目指してまいる所存でございます。 公共交通について、道路整備が中心の施策から公共交通機関に配慮した施策に転換できないのか、また赤字路線の維持を鉄道事業者だけにゆだねていく時代は終わっているのではないか、県、市、関係町も負担できないか、こういう御質問でございました。 まず、公共交通機関に配慮した施策へ転換できないかという御質問でございますが、和歌山市内の道路整備はまだまだ大変おくれておりまして、生活道路は狭くて危険な箇所が各地にございます。また、幹線道路網もいまだ整備途上でございまして、現在、市が進めております西脇山口線の栄谷跨線橋や、一体いつできるんやと市民の皆さんからおしかりを受けながら建設を急いでおります市駅小倉線、松島本渡線、湊神前線、南港山東線など懸案がメジロ押しでございます。 もちろん議員御指摘のように道路の整備が進むにつれてマイカーやバイク、自転車等を利用する通勤・通学客がふえる傾向が著しく、南海電鉄では貴志川線の乗客が減った原因の一つに、湊神前線の宮前陸橋ができてから高校生が大量に自転車通学に切りかえたということを挙げております。 とはいえ、だから道路整備をやめろということにはならないわけでございまして、市内のバス路線が有効に機能するためにも道路整備は欠かせないものでございますし、地区話会に出かけて話をさせていただく中でも、地域住民の皆様の道路に対する要望の強さ、切実さをひしひしと感じているところでございます。 貴志議員の御質問にもお答えしましたが、マイカーへの転換、人口減少、値上げが行えない経済情勢など、鉄道やバスの経営にとって大変厳しい状況が続いております。とはいえ、市民にとって鉄道や路線バスは、通勤、通学、通院など日常生活に密着した公共交通機関ですので、不採算だからといって簡単に廃線や路線廃止をされてはかなわないわけであります。 鉄道やバス会社は可能な限り利用しやすいように住民の意見などを取り入れてダイヤ編成を工夫する、市民の側も事業者の努力を無にしないようにできる限り利用するよう努めることで、ともにふるさとの公共交通機関を守るために汗を流すことが必要だと思います。 赤字路線の維持を鉄道事業者だけにゆだねる時代は終わったのではないかという御質問ですが、鉄道事業の存続につきましては、他県で実施してきた事例が数々ございまして、成功したものも、失敗に終わったものもございます。成功例について運営形態の調査研究を進めるとともに、国及び関係自治体と協議し、最善の道を探ってまいりたいというふうに考えてございます。 以上でございます。 ○議長(佐伯誠章君) これにて各会派の代表による一般質問を終結します。 お諮りします。 本日の会議はこの程度にとどめ延会し、明3月3日午前10時から会議を開くことにしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(佐伯誠章君) 御異議なしと認めます。 よって、そのように決しました。 本日はこれにて延会します。          午後3時55分延会   ------------- 地方自治法第123条第2項の規定によってここに署名する。  議長  佐伯誠章  副議長 東内敏幸  議員  貴志啓一  議員  多田純一  議員  メ木佳明...